カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。宝塚記念以来だから3か月ぶりだじぇい。待ちに待った秋のGIが始まるよ。まずは電撃戦のスプリンターズステークス(2019年9月29日、中山競馬場、1200メートル)だじぇい。人間でいうと100メートルのスプリント戦だよ。今年はスプリントの絶対王者がいないから、混戦きゃすう?
カスヨ そうね、かつて連覇したレッドファルクスやロードカナロア、あるいは牝馬のストレイトガールのような絶対的存在がいないわね。去年の覇者、ファインニードルは今年初めに引退しちゃったしね。
ダノンスマッシュの弱点とは
カス丸 戦国時代きゃすう?カスヨ姉さんの本命◎は3歳牝馬のディアンドルだじぇい。大丈夫?
カスヨ 何を言ってるの、カス丸。去年の2着は3歳牝馬のラブカンプーよ。ディアンドルはデビュー以来ずっと1200メートル戦を使ってきて、7戦で5勝2着2回と連対を外したことがないの。それに中山競馬場は2戦2勝と完璧。先行できるし、先行馬が有利なスプリンターズSにはぴったりなのよ。それとね、おまけの話だけど、ラグビーW杯がある年は牝馬が勝つということね。4年前の2015年はストレイトガール、その前の11年はカレンチャンが勝っているわ。
ガジュマル爺 久しぶりのGI開幕戦で、なにをしょっぱなからオカルトみたいなことを言うとるんじゃ。そんなつまらん巡りあわせは何の意味もないことじゃ。何度も言うておるように競馬は強い馬が勝つ。これしかないんじゃ。だからわしは、ダノンスマッシュが本命じゃ。牡馬4歳、つまり男馬で、いまや油が乗り切っておる。このメンツではだれが見てもナンバーワンじゃろ。1番人気が予想されとるタワーオブロンドンにも8月のキーンランドカップ(GIII、札幌、1200メートル)でちゃんと勝っておる。父はこのレースを連覇したロードカナロアじゃから、親子で優勝は間違いないじゃろ。
カスヨ 強い馬、強い馬、もう聞き飽きたわ。そんなことを言うようじゃ、今年の夏競馬も負けたのね、爺は。まったくいつも同じことの繰り返しなのよ。競馬がそんなに簡単なら誰でもどんなレースでも当たっているわよ。確かにダノンは強いけど、この馬はたぶん坂があるとダメなのよ。春のスプリンター王者を決める高松宮記念(GI、中京、1200メートル)で1番人気を裏切って4着よ。舞台だった中京競馬場は最後の直線に坂があるわ。内側の先行馬たちが止まらなかったなんて言い訳が聞こえるけど、他の坂のあるコースでも成績はいまいちよ。これまで勝ってきたところは、京都や札幌なんかの最後の直線に坂のないところばかり。坂のあるところで勝ったのはデビュー2戦目の阪神競馬場。でも、これは2歳未勝利戦だから、レースのレベルが知れてるわね。中山は最後の最後に急坂があるから、止まってしまうんじゃないかしら。しかも中山は初めてだから危ない人気馬だと思うわ。
カス丸 ふーん、馬にも得手不得手があるきゃすう。カスヨさんの対抗〇は、ダイメイプリンセスだよ。これも、牝馬だじぇい。
カスヨ 今年は牝馬でいくのよ、わたしは。ダイメイは今年8月の北九州記念(GIII、小倉、1200メートル)でディアンドルを破って優勝した馬よ。小倉競馬場の1200メートルは中山と似ていて、スタートから下りよ。緩みがない流れが続くから距離が短いといってもスタミナがないとダメなのよ。中山は最後に坂があるけど、この馬はともかくスタミナがあって、末脚が確実なので必ず来るわ。好調を維持している点もいいわね。
ガジュマル爺 カスヨも都合のいいところだけをつまみ食いしとるんじゃ、まだまだじゃな。ダイメイは北九州記念の後、今月にセントウルステークス(GII、阪神、1200メートル)を走って6着じゃ。やはり坂があると、末脚も鈍るんじゃろ。このスプリンターズSでは、前走が北九州記念の馬とはあまり連動してないんじゃ。それに比べてセントウルSのほうは過去10年で優勝馬の半分が前走でこのレースを使っておる。そこで6着では心もとないというものじゃ。同じ牝馬でもわしの対抗は、リナーテじゃ。こちらはキーンランドカップでダノンスマッシュの3着じゃ。キーンランドCのほうが、北九州記念よりは連動していて成績がいいんじゃ。