TAKUROの詞曲が中心に
アルバムの収録曲はインスツルメンタルの一曲目「REIWADEMOCRACY」を入れて全14曲。前作と違うのは満を持していたかのようにTAKUROの詞曲が中心になっていることだろう。彼が両方を書いた曲が9曲。それでもJIRO作曲TAKURO作詞が1曲。HISASHIの詞曲が1曲、2014年以降、シングル表題曲も手掛け、ソングライターとして成長著しいTERUの詞曲が2曲ある。
中でも「劇場版ファイナルファンタジーⅩⅣ・光のお父さん」主題歌として彼が書いた12曲目の「COLORS」は、「この年齢になって感じる父親への想いを歌った」という曲だ。子供の頃の記憶をたどりつつ"最近僕らは良く似て来たな"と歌う感謝の歌は若い頃には書けなかったに違いない。
そうしたシングル発売された曲がアルバムの後半、前半にアルバムのための曲が並んでいる。不特定多数にも向けられるシングル曲とは違うそれぞれのテーマと表現。2曲目の「反省ノ色ナシ」は、今の世の中の風潮に対しての率直な気持ちだろう。望んだ結末を迎えられなかった二人が主人公の5曲目「氷の翼」は幻滅の中での葛藤が切ない。若き日に誤解し合ったまま新しい時代を迎えようとしているカップルの6曲目「誰もが特別だった頃」。そして疲れ切った男の無念さと対照的に軽やかなビートのマッチングが光る7曲目「あゝ、無常」、更に「愛は役目を終えたのか」と歌う8曲目の「戦禍の子」。アルバムタイトルになぜ「NO」がついたのかを示唆するような曲が続いている。
そうやって「令和」の時代への忌憚のない思いが語られた前半のトーンは9曲目の突き抜けるようなのびやかなギターが気持ちいい「JUST FINE」で表情を変える。TERUの外連味のない真っすぐさがそのまま勢いになった10曲目「はじまりのうた」は、新しい時代への讃歌のようだ。11曲目の「あなたといきてゆく」は、相手の女性を「あなた」と呼ぶGLAYらしいヒューマンなラブソング。13曲「愁いのPrisoner」は、全てを振り払うカタルシスに溢れている。
そんなアルバムの最後の「元号」は、戦争を挟んだ「昭和」生れの「願いの歌」のようだった。
年頭に発表された25行もの"宣言"の中にはこんな文章もあった。
"日本の歴史を振り返ると意外にも
民主主義という概念は新しいものだったりする。
平成という名の民主的な時代に感謝するとともに、
令和という時代への責任も感じたりする。
そして思うのは、次の時代もまた、
4人だけでは越えられないはずだということ。"
25周年の「7つの公約」は、4つ目が果たされた。残る三つがどんな風に形になるのか。彼らは公約を破らない。
(タケ)