女子テニスの大坂なおみ選手を指導したプロテニスコーチのサーシャ・バインさんが新著『心を強くする「世界一のメンタル」50のルール』(飛鳥新社)を出版し、2019年9月17日に東京都内で開催された記念イベントに出席した。
この日は来場客が抱える悩みに対し、メンタルへの配慮を重視する「サーシャ流」アドバイスを送った。
「プレッシャーは常に自分の頭の中にあるもの」
ドイツ出身のサーシャさんは、2018年シーズンに大坂選手のコーチに就任。当時世界ランク68位だった大坂選手を成長させ、昨年は日本人初の全米オープン女子シングルス、全豪オープン女子シングルスにそれぞれ優勝する快挙に貢献。世界ランキング1位に押し上げたのち、19年2月にコーチを離れた。
現在はフランスのクリスティーナ・ムラデノビッチ選手のコーチを務めるサーシャさんは、大阪で開催中の東レ・パンパシフィックオープンでの指導も兼ねて来日。イベントでは「メンタルミーティング」と題し、来場者の悩み相談に応じた。
テニスのプレー中、セットポイントやマッチポイントになるとプレッシャーを感じるという男の子。サーシャさんは、
「プレッシャーは常に自分の頭の中にあるもので、外から与えられるものではありません。まずは、深呼吸することが大事です。ポイントを迎えるごとに何度か深呼吸をすることで、心拍数が下がり、落ち着いてきます」
と回答した。
指導者としてのあり方を尋ねられる場面もあった。「コーチ自身が悩んだときはどうするか」という女性からの質問には、
「私が悩むときは、いつも直感に頼ることにしています。一度やることを決めたら、他の選択肢について一切振り返ることはしません」
と語った。
「受験勉強のモチベーション上げるには...」
生活上の悩みもぶつけられた。子どもが中学受験を控えているという女性は「勉強のモチベーションを上げる『マジックワード』はないか」とたずねた。これに対して、
「受験勉強をすることで自分にどういうメリットがあるかを理解させてあげることが大事です。勉強すること自体は大切ですが、受験を控えていて『受験勉強大好き!』と思える子どもは、世界中どこを見てもいないのではないでしょうか」
と、子どもの心情に理解を示した。
その上で、こうアドバイスした。
「お子さんは、まだ学校に行くことや受験勉強にメリットを感じていないのかもしれない。それでも、本当に『これをしたい』と思えるものがあれば、モチベーションはおのずと湧いてくるのではないでしょうか」