空気を読みすぎる社会
「過剰適応」について、名越さん自身が解説した文章を「女性自身」のネット版で見つけた。投稿は昨年11月、概略は以下の通りである。
〈日本人の2~3割が該当するとされる。まわりの顔色(環境)が気になり、それに合わせようとするあまり、自分を押し殺してしまうこと。幼少期に、親と無条件の信頼関係を築けなかった、あるいは思春期のトラウマから立ち直れないなど、別の理由があることが多い。長く続くと、リラックスをつかさどる副交感神経のパワーがなくなり、心身の緊張から解放されなくなり、自身をさらに追い詰めてしまう。私は大丈夫と決めつけず、息苦しいと感じたら自分を気にかけ、ケアを始めてほしい〉
私もその傾向があるので分かるが、「良い子」を演じ続けるのは疲れるものだ。学校なら友だち関係、社会人なら日々の職場生活や自身の評価にも関わるので、不用意に「素」を晒すわけにもいかない。自然と定まった「キャラ」に沿って振る舞うほうが楽なのだ。
しかし、外面と内面とのズレは次第に精神を蝕み、やがては心身の不調を自覚するに至る。男性より、社会的制約が多い女性に発症が多いらしい。
みんなが空気を読みすぎる、と言われるこの社会(時代)である。大切なのは周囲の評判より自己の充実感や達成感...これに気づくのは早い方がいい。ふだんサービス過剰のあなた、時には「自分ファースト」やっちゃいましょう。
冨永 格