フェイスケアやボディケア製品にはじまり、数多くの商品を展開する花王(東京都中央区)。商品ごとにツイッターアカウントを運用するスタイルで、旬な情報を発信している。
その一角である「花王 アタック (お洗濯全般)」アカウントの特徴は、洗濯用洗剤「アタック」の紹介に留まらず、担当者が実体験をもとにした洗濯へのアドバイスを積極的にしている点だ。
洗濯で困っている人を助けるため、投稿範囲を「洗濯全般」に
【花王 アタック (お洗濯全般)】2017年5月に開設。「花王のお洗濯まわり公式アカウント」として、商品紹介や「洗濯」するうえで耳寄りな情報を紹介している。18年4月から現担当者が運用中。
担当者はコンシューマープロダクツ事業部門のファブリックケア事業部社員。自社洗濯用品にまつわるマーケティングが主業務で、商品づくりや広告制作、イベント企画など幅広く手掛けている。もとは情報発信ツールとしてアカウントを立ち上げ、事務的に商品紹介やキャンペーン告知をするだけだったが、「投稿内容を見ていて、『これはフォロワーから見て面白いのだろうか』と疑問を感じたため」ため、「中の人」として運用を始めた。
「ツイッターは『お客様から見て面白く、役に立つこと』が重要です。一方的に洗濯用品の情報を発するだけでは目に留めてもらいにくく、また『アタック』に関する新情報がそれほど頻繁に出てくるわけでもないので、投稿範囲を『洗濯全般』に広げようと考えました。せっかくお客様と直接つながれるツールを持っているのだから、洗濯で困っている人を助けたいと思ったのです」
よく見かけるのが、「漂白剤を使うと全部白くなってしまうのではないか」と悩むユーザーで、「『酸素系漂白剤であれば大丈夫』と教えている」という。またケチャップや泥で汚れた服の写真がツイートで送られてきて「どう洗えばいいか」と相談を受けることもあるそうだ。最近では、8月19日に投じた漂白剤にまつわるツイートが1.5万件のRT、2万いいねを獲得し、記事に取り上げられるほど話題になった。
「真っ白なTシャツが漂白剤で洗ったら想像の斜め上の色、例えば桃色に姿を変えてしまったという経験がある方はいらっしゃいませんでしょうか?
これは服に着いた日焼止めと反応してそうなったのかもしれません。洗剤につけ置きして何度かもみ洗いを繰り返せば元に戻る可能性が高いので諦めないで下さい」
「自分の五感で物事をとらえて、熱を込めて伝える」
同担当者が目指しているのは「タイムラインのお洗濯担当」。洗濯で困ったらここに相談すれば大丈夫だと思ってもらえるようになりたいと話す。そのうえで重視しているのが「体温が感じられるツイートをする」ことだ。
「親交のある他社公式ツイッター担当者から与えていただいた気づきです。型の決まった機械的な投稿や固い文面ばかりでは、『向こう側に人がいる』という印象が薄くなる。でも伝える相手のことを考えて、敢えて言い回しを軽くしたり、実際に現場に足を運んで感じた気持ちを含めたりするとツイートに体温が宿り、ユーザーにより受け入れてもらいやすくなると感じています」
例として同担当者が挙げたのは8月9日の投稿。東京ビッグサイトで行われたコミックマーケット(C96)に参加した後、こんなことをつぶやいた。
「夏コミに参加された皆さん...お疲れ様でした...わたしも行ったのですが...すごい暑くて汗びしょびしょでした...そんな衣類はなるべく早く洗う、特にワイドハイターでおひたしにするとかなりきちんと臭いが落とせます...明日以降行く方はご武運を...楽しいねコミケ #C96」
汗で汚れた服は衣料用漂白剤「ワイドハイター」で浸け置くと臭いが落とせることを、実体験をもとにユーザーに伝えたのだ。
「会場に出向いたことでどれだけ暑いか、どれだけ汗をかくかが実感でき、お陰で『当事者意識』をもって呟けました。今はネットから得られる情報だけでも色々なことがわかりますし、学べます。でも、できる限り『自分の五感で物事をとらえて、熱を込めて伝えること』を今後も大切にしていきたいです」