NTTは「地域の希望の光」となる人を東京2020オリンピック聖火リレーのランナーとして募集している。「地域の希望の光」とは、「過去から未来へ伝統文化を大切につなぐ人」「新しいコミュニティをつくり地域社会をつなぐ人」「復興を志す人たちをイノベーティブな技術でつなぐ人」など、地域の「人・技・時」をつなぐ人だという。
聖火リレーの特設サイトでは、47都道府県の大学生が、各地で活躍するこうした「地域の希望の光」となる人を紹介するインタビュー記事が公開されている。J-CASTトレンドでは同サイトの関係者で、学生代表の松井達夢さん、地方学生のディレクションを担当した野津直生さん、プロデューサーとして学生たちを取りまとめた渋井裕也さんを取材した。
ほとんど全ての業務を大学生だけで
特設サイトで人物紹介記事を掲載する「地域の希望の光プロジェクト」では、取材対象者の選出、取材依頼や日時の調整、インタビューの実施に記事の執筆とほとんど全ての業務を学生たちが行った。中心となったのは、「インターン以上、フリーランス未満」をモットーに活動する学生団体「PR Academia(以下、アカデミア)」。松井さん、野津さんが所属している団体で、大学生の視点を生かして企業のPR活動に携わっている。
彼らが、実際に取材と執筆を行う47人の学生アンバサダーを組織し、プロジェクトを完遂させた。
現地に詳しい学生たちがリストアップした人たちを中心に、性別・年齢・職業に偏りが出ないように、取材対象者が選ばれた。インタビュー記事を見ると、伝統芸能・伝統工芸の担い手、農業従事者、教育やまちづくりに取り組む人など、多様な顔ぶれだ。
松井さんによると、取材前に対象者について調べたり、日常生活では接する機会のない大人と出会ったりすることで、「価値観が広がった」と感じた学生アンバサダーも多いようだ。
インタビュー対象者は聖火リレーのランナーではないが、NTTが求めるランナー像に合致する人物。記事を読んで自分の住む地域で活躍している人を知り、たとえ聖火ランナーに応募しなくても、「こういう人が走るんだったら応援したい」と思って欲しい、1人でも多くの人に聖火リレーに関心を持ってもらいたい――松井さんは、こう望んでいる。
地方の学生にもチャレンジの機会提供できた
今回のような大きなプロジェクトを、学生たちの力でやり遂げるのは簡単なことではない。 自分たちの実力以上のことを求められて「キャパオーバー」を感じたこともあれば、しんどい思いをすることも多かったようだ。だが、だからこそ成長できた、と松井さんは語る。
松井さんによると、学生がインターン等で仕事をするときには、「学生だから」という理由だけで信用してもらえないことが多いそうだ。しかし、今回プロジェクトをやり遂げたことで、社会に対して「学生の力」を証明できたと自負する。今後はこの実績を生かして、学生が社会に関わる機会を増やしていきたい、と話した。
島根県出身の野津さんは、東京と比べると地方では、何かに挑戦するチャンスが巡ってこないことが多いと考える。プロジェクトを通して、47都道府県のやる気のある学生にチャレンジの機会を提供できたことに、大きな意義を感じたようだ。
学生たちの成長は、すぐそばで見守っていた渋井さんには目に見えてわかったそうだ。ただ、学生グループがこれで解散なのはもったいない。今後も活躍できる環境を作ろうと、新会社「りべる」を8月5日に設立した。今後、地方との学生とのつながりを生かしたプロジェクトを発信していきたいと渋井さんは意気込んでいる。