地域のストーリー
自分たちの地域は、観光客にどうみえているのか?
この問いに挑み、国内外から30万人の観光客を迎える町が、人口8000人の青森県田舎館(いなかだて)村である。あるきっかけから、紫と黄色と緑の三色の稲で田んぼに文字と絵を描いた。20年以上の経験の積み重ねで、いまではコンピュータ技術や遠近法を駆使して、写楽の浮世絵やモナリザで訪問者を喜ばせる。稲作のない時期も、真っ白な田んぼに歩いて模様を描くスノーアート、6色の小石を並べて絵を描く石アートを提供し始めた。
ブランド価値の創造に、顧客との対話を利用した地域が福井県。京都や金沢にひけをとらないブランド価値を得るために、福井ガストロノミー協会は「良いと思って買ってみたら福井産だった」という運動を始め、厳しい顧客の目に応えられるように、参加者が自らに品質基準を課したのである。また。フランスのグルメガイドと協力してヨーロッパでの知名度向上にも取り組んでいる。
インバウンド観光客が年々増加する日本にとって、訪問者との対話・交流を通じて自らの地域の価値に気づき、さらに洗練された価値作りを行う。その重要性を著者は説いている。また、そのための人材育成、高等教育のあり方、観光地の総合的なマネジメントなどについても内外の最新事例が紹介されており、読者の問題意識に応じて多くの示唆が得られる。
<経済官庁 ドラえもんの妻>