建築に憧れて 知花くららさんが突き進む前向き「よくばり」人生

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よくばりな人生

   実は私も、大学に入るまでは建築家をめざしていた。工学部の授業で何百本も線を引いたし、団地やインターチェンジの設計までやったが、落ちこぼれた。

   だから「建築的な思考」のなんたるかは分からない。たぶん、専門的な技術や経験より、空間クリエーターならではの考え方を習得してほしい、というアドバイスだろう。彼女が建築士の資格を目ざすか否かはさておき、アラフォーへの激励としては的を射ている。形ではなく精神から入ろうと言われれば、私だっていくらか気楽になったはずだ。

   知花さんは、フランス関係のレセプションで何度かお見かけした。人気モデルとして活躍されているころで、長身という要素を除いても目立つ存在だった。その立ち居振る舞い、漏れ聞こえるやりとりから、この人はこれで終わるまいと思ったものだ。

   モデルで女優、歌人でエッセイスト、もしかしたら建築家。もはや見上げるしかない。私の直感をはるかに超える高層建築である。ある意味「よくばり」な人生ともいえる。

   ちなみに2017年に結婚、今秋には母になる予定という。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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