「選手村跡地計画」だからこそ実現した空間デザイン
古谷さんは「3方向を海に囲まれているため、生涯にわたって眺望や日当たりが保証される」ことを「HARUMI FLAG」の魅力として強調し、これまでに来場した見学者についてこう明かした。
「湾岸エリアにお住いの子育て世帯から支持を得ているほか、持ち家がある方が『終の棲家』として買い換えを希望されるケースも多いようです。色々な人にとって住みやすいようユニバーサルデザインに徹底配慮しているため、立地条件に加え、子どもから高齢者まで暮らしやすい設計にしている点も評価されていると思います。建築基準をクリアすればいいという考えではなく、基準以上の『ゆとりをもったつくり』を追求しています」
古谷さんが具体例として挙げたのは、住宅棟の共用廊下だ。一般的なマンションの外廊下幅が約1200ミリメートルであるのに対し、「HARUMI FLAG」は約1500ミリメートルを確保。この300ミリメートルの差で「車いす利用者やベビーカーと人がギリギリすれ違える」のではなく、「余裕をもって行き違える」ようになるという。「選手村」という国家プロジェクトを受けて作られ、その「遺産」となる街だからこそ、成し得た空間デザインや機能面に魅力を感じる人は多いのではないか。【特集・目指せ!東京2020】