ミルクと相性抜群なのは既に知られていた
使用したタピオカは乾燥タイプの「ブラックタピオカ」。
いま流行りの黒いタピオカで、明治時代のレシピを再現してみることにした。 その他の材料は牛乳、砂糖、卵、ゼラチン、香料(バニラエッセンスを使用)で、簡単に手に入るものばかりだ。
「タピオカのブラマンジ」は、文字通りタピオカ入りのブラマンジェ。砂糖を入れた牛乳でタピオカを煮て、ゼラチン、香料、泡立てた卵白を入れ固めたもので、現代と変わらないレシピだ。記者はガラスのプリン用カップを使用した。
冷えたところで逆さにし、皿にあけると、しっかり円錐の形に固まっていた。
ぴかぴかのブラックタピオカが上面に並び、牛乳の白さとのコントラストが印象的だ。皿を揺するとプルプルと震える。
スプーンですくって食べると、バニラの香りと練乳のような甘さが口に広がる。タピオカも牛乳で煮た効果か、まろやかだ。卵白を入れたためふわふわの部分もあり、ブラマンジェのプリプリ、タピオカのもちもちと相まって飽きの来ない食感になっている。
「タピオカプデン」は、タピオカ入りプリン。卵黄と牛乳、砂糖、香料を混ぜ、水で戻したタピオカを入れてオーブンで焼く。こちらも現代のプリンの製法と変わらない。
ブラマンジと同じプリン型で作ったが、こちらは「もはや液体なのではないか」というほどトロトロに仕上がった。プリン型から直接すくって食べるのがよさそうだ。
タピオカは水で戻しただけなので、火が通っているのか不安だったが、弾力のある仕上がりになっていた。味は、甘さがしつこくない、おいしいカスタードプリンだ。
「タピオカのマッシ」は「食道楽」に「葛のお粥のようなもの」と書かれている。西洋の胃腸病患者がよく食べていたそうだ。
塩・砂糖で味付けした牛乳で、タピオカを40分間煮る。スープ皿によそい、食べてみた。
当然のことながら甘じょっぱい。40分も煮続けているので、牛乳の味も濃厚になっている。
なじみの薄い、不思議な味だ。しかし、最近どこかで経験した気がする......。
記憶をたどると、「チーズティー」が思い当たった。ナチュラルローソンで購入した「タピオカチーズティー」に似ている。まさかここで「旬」の味に出会うとは思わなかった。
「マッシ」は好き嫌いが分かれそうだが、「ブラマンジ」「プデン」は純粋に「おいしいスイーツ」だった。レシピも現代のものとほとんど差異がなく、古さを感じない。
また、すべて牛乳を使ったレシピというのも興味深い。タピオカとミルクの愛称が抜群であることは、明治時代にはすでに知られていたようだ。
「食道楽」は青空文庫、国立国会図書館デジタルコレクションにアップロードされている。