対話に潜むウソ クリス-ウェブ佳子さんは「筒抜け」のSNSこそ疑えと

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「話半分」で読みましょう

   上記エッセイのタイトルは「みんな嘘つき」。知見の引用も的確で、なかなか手練れの展開である。「モデル出身にしては...」なんて思いは全くない。こうした文才に恵まれた女性が(たまたま)モデルとしても稼げる外見を有していた、そういうことなのだ。

   さて、われわれ旧メディアの出身者は、しばしば若者の「新聞ばなれ」を嘆く。ただ、これは「紙ばなれ」ではあっても「文字ばなれ」ではない。新聞社が発信する情報は日々、ネット上で拡散されているし、メールやLINE、ツイッターもフェイスブックも、文字情報である。若者たちは上の世代以上に文字文化に日常的に浸っていて、中高生発の「LINE文化」「メール文体」のようなものが蓄積されつつある。

   そんなことを、先ごろの講演でお話しした。テーマは「書く歓びと、少しばかりの責任」。クリス-ウェブさんの考察も、SNSで留意すべき点に関するものだ。ただし「少しばかりの責任」ならぬ「少なからずのウソ」についてである。

   表情や声がマスクされている分、ウソだと気づく手がかりは少ない。なにしろメラビアンの法則によれば、面と向かってのコミュニケーションに比べ、情報量は7%しかない。発信された情報が倍に盛られているとすれば、話半分で読まないと計算が合わない。

   もちろん、あなたが読んでいる冨永の連載も例外ではない。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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