原曲にも負けない迫力のある「かっこいい」曲
「ヘンデルの主題によるパッサカリア」は彼が33歳の1897年に作曲されています。オリジナルの編成はヴァイオリンとヴィオラの二重奏というシンプルな編成で、ヴァイオリン二丁や、ヴィオラ二丁、またはヴァイオリンとチェロの二重奏でも演奏されます。
原曲のヘンデルの「パッサカリア」も迫力ある展開を見せる見事な曲ですが、ハルヴォルセンの曲は、弦楽器二台という実にシンプルな編成・・つまり音域が広く、伴奏楽器として使いやすいピアノやチェンバロが参加していない・・・にも関わらず、原曲にも負けない迫力のある、「かっこいい」曲となっています。二台の弦楽器からこのような豊かな音楽が生まれるのか・・!と驚きを禁じえません。
「ヘンデル」という有名人の名前を借り、ヘンデルのパッサカリアの「ごく一部分」を作曲の動機として使ってはいますが、内容的には、ほぼハルヴォルセンの創作、しかし、その出来栄えは、弦楽器に精通したこの北欧の作曲家の力量を余すところなく示した傑作となっているのです。
グリーグに比べたら、まだまだ無名の作曲家ですが、この弦楽合奏曲は、決して見過ごすことのできない佳作ですし、これからさらに再評価が進む作曲家のような気がしてなりません。
本田聖嗣