客席もステージもない寛ぎのフェス
BEGINのここ数年のコンサートに欠かせないのが、"マルシャショーラ"というメドレーである。ブラジルのサンバの母体になったというダンス"マルシャ"を"しようよ"という造語。延々途切れることのないビートにのってBEGINのヒット曲や昭和歌謡の名曲が歌われてゆく。前半・後半に分かれた計23曲。最後は加山雄三も加わった「サライ」だった。
全出演者約500名、芝生の上の観客は約8000人。家族連れの多さも通常の夏フェスとは違う。"おじいおばあ"と呼ばれる年代も多い。三世代が当たり前であり、誰もが楽しそうだ。立ち上がって気の向くままに指笛を鳴らしカチャーシーと呼ばれる沖縄の踊りを踊っているお年寄りもいる。
ウクレレオールスターズやサンバダンサー宮城姉妹、琉球祭太鼓、嘉手納町長も交えて約1時間に及んだ「マルシャショーラ」の足踏みダンスの歩数は去年の7000歩を上回る8300歩と発表され、会場が歓喜とともにどよめいている。
それは心温まる光景だった。
日本に夏フェスが定着して約20年。70年代のように教育委員会が中高生の参加を禁止したりという時代ではなくなっている。
でも、客席の年代の広さ、そして、思い思いの楽しみ方。客席もステージもない。こんなに会場中が屈託なく寛いでいるフェスはここだけではないだろうか。
ビジネスでもプロモーションで数合わせでもない。音楽のジャンルにもこだわらない。それでも確かなテーマは流れており、誰もが同じ思いで参加している。
それが未来のフェスの形なのではないだろうか。来年はBEGINデビュー30周年。「うたの日」も20回目を迎える。
(タケ)