不健全な社会
朝日や読売になく毎日新聞にあるもの、その一つが自前の経済誌だ。エコノミストの創刊は、関東大震災が起きた1923(大正12)年。日本最古の経済専門誌だろう。
その長い歴史においても、不動産のトピックに絞ったコラムは珍しいかもしれない。上記が連載の3回目で、これまでに「レオパレスの施工不良」と「円高株安とマンション価格」を取り上げている。空き家、とりわけ都市部のそれは、老朽マンションや「ゴミ屋敷」と並ぶ社会問題になりつつあり、時宜を得た内容である。
総務省によると、全国の空き家(2018年)は846万戸、総住宅数に占める割合は13.6%で、いずれも過去最高。空き家率が2030年前後に30%に達する、という予測は衝撃的だ。人が住まない家や、マンションの部屋が全住宅の3割もあるというのは、どう見ても健全な世の中ではない。見た目や防犯上の心配だけではない。さして広くもない国土で、それだけの土地や建物を遊ばせていることになる。
だから、中古市場の充実と活性化を願う筆者の思いは理解できる。ただ、経済通が多い読者層に合わせたのだろうが、専門用語が目立ち、表現がやや硬いかなと思った。
ちなみにテレビで拝見した長嶋さんは、なかなかソフトな語り口だった。
冨永 格