アリス、70歳ツアー  
今が一番「アリスらしい」

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それぞれの空を飛びまわって帰ってくる母艦

「ALICE AGAIN 限りなき挑戦-OPEN GATE-THE SETLIST」(Universal Music、アマゾンサイトより)
「ALICE AGAIN 限りなき挑戦-OPEN GATE-THE SETLIST」(Universal Music、アマゾンサイトより)

   アリスは、初期の段階からグループとしての活動とソロ活動を両立させてきているという意味でも稀有な存在だった。当時、彼らが語っていたのは「アリスは母艦」という言葉だ。3人がそれぞれの空を飛びまわって帰ってくる場所。ここに帰ってくる。そういう意味では、今の方がより強い意味を持っていると言えそうだ。

   81年の休止以降、最初の再始動は87年、以来6回目。武道館公演は2001年や前回、2013年の全都道府県ツアーの時も行われている。彼らの中でも「帰ってきた」という実感があることが伝わってきた。

   年を重ねるということはその人の個性という色が濃くなっていくことでもある。それぞれの生き様や人生模様。三人三様というバランスという意味では、今が一番アリスらしい、と言って良いのではないだろうか。

   彼らの曲はヒット曲しか知らない。そういう人のために、レコード会社の枠を超えてツアーの選曲を集めた初のオールタイム・ベストアルバム「ALICE AGAIN 限りなき挑戦-OPEN GATE-THE SETLIST」が発売されている。この日演奏されたのは26曲。そのうち24曲が収録されていた。

   タイトルにもなっているツアーに向けた新曲「限りなき挑戦」は、こんな歌詞だ。

   「あなたは突然言った 守るべきものが出来たら 無茶をしないで生きること 考えてもいい頃だと」

   バンド史上、最年長最大規模となる70才ツアーは、来年まで続いてゆく。それが「無茶」かどうかは、観客が判断することなのかもしれない。

   このステージのために今までの時間があった。そう思わせられる夜だった。

(タケ)

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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