サバ缶の生産量が10年間で2万トンも増えている――。
そんな衝撃的な実態が、缶・びん詰製品の研究・調査などを行なう日本缶詰びん詰レトルト食品協会(東京都千代田区)の発表から分かった。
サバ缶人気は「一過性ではない」と協会担当者
同協会が2019年6月19日に公式サイトで公開した「水産品缶・びん詰の国内生産数量統計」の最新調査によれば、2018年のサバ缶・びん詰の生産重量は約4万9000トン。2009年は約2万8000トンの生産量だったことから、10年間でおよそ2万トンの「爆発的増加」だ。
サバ缶の生産量増加の要因を同協会担当者に取材すると、
「2016年頃からテレビ等でサバの健康効果が取り上げられるようになり、健康に関心がある人からの需要が高まった」
との分析を明かした。
サバには中性脂肪を減らし血液をサラサラにするなどの効果を持つとされる「DHA」(ドコサヘキサエン酸)と「EPA」(エイコサペンタエン酸)を含むことから、気軽にサバを摂取できる「水煮」が人気になっていると話した。
また担当者は、
「過去にもサバ缶がブームになって生産量が伸びたことはあったが、一過性のものだった。今回は継続的な伸びを見せている」
と、サバ缶人気は長期化しつつあるとの見方を示した。
サバとは対照的なのがカツオとサンマだ。
生産重量は、カツオが2009年の約1万4000トンから2018年は約8200トンに、同じ時期にサンマは約1万5000トンから約6700トンに、それぞれ減った。
担当者はカツオ、サンマともに「不漁などで原材料の漁獲が減ったこと」を理由に挙げ、消費者のニーズについては「サバ缶人気」のような分かりやすい変化は見られないとした。
生産量急増の魚は、ほかにもある
今後生産量の増加が見込まれる缶詰・びん詰として、担当者は「イワシ」を挙げた。イワシはサバに含まれる「DHA」と「EPA」を同じく含むことから、近年はテレビ等で取り上げられる機会が増えているという。2018年の生産量も約7200トンと、前年の約4700トンから大きく増加した。
担当者は、
「近年の食品業界は"健康"がトレンドになりつつある。水産品の缶詰は生産量の全体的に横ばい傾向が続くとみられるが、サバとイワシは伸びていくのではないか」
と語った。