生徒は「今のままの形、場所」を望む
福島県教育委員会が2019年2月に公表した「県立高等学校改革前期実施計画(2019年度~2023年度)」には、「県立高等学校の再編整備」の内容が盛り込まれた。統合される高校が複数あり、新地高と相馬東高が含まれる。両校は2022年度に募集を停止し、統合後は相馬東高の校舎が使用される。
「統合校における教育活動の方向性」として、「新地の実践してきた命の教育や震災被害の伝承活動などを防災教育の観点から継承するなど、地域と連携した教育活動の充実を図ります」と書かれている。
福島県教委はJ-CASTトレンドの取材に、「現在は両校や地元の人々に、統合計画の背景や方向性を丁寧に説明している段階」とし、「まずは地域の皆さんのご理解を得ることが重要です」と話した。「おもひの木プロジェクト」がどのように受け継がれるか、沙羅の木そのものは植え替えられるのか、といった具体的な内容が決められるのは、その後になる。
プロジェクトに携わる生徒の心境は複雑だ。
「『おもいの木』自体、今の場所にあることに意味があるのです。私は先輩が経験したことを受け継ぎ、後輩に話してきました。今後高校生になる人たちにも語り継いでいってほしいし、忘れないでほしいです」(3年生生徒)
「統合先に(プロジェクトや木を)持っていけばいいという単純なものではありません。今のままの形、場所で月例会を続け、活動も継続してもらいたい」(2年生生徒)
今年の3月11日も、新地高では追悼行事が開かれた。亡くなった9人の先輩をしのび、在校生が黙とう。さらにこの日は、全校生徒が震災関連の話を聞いた。統合後、震災の記憶の伝承はどのような形で続けられることになるだろうか。
(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)