「チケット不正転売禁止法」が2019年6月14日、施行された。日時や場所、座席が指定され、不正転売の禁止が明記されたチケットを、販売価格を超える価格で「業」として転売することを禁止するものだ。個人・業者問わず、反復継続の意思が見られた場合は、不正転売に該当すると判断される可能性がある。
同日、チケット高額転売問題に関する様々な啓発活動や情報発信を継続的に行う団体「チケット適正流通協議会(FTAJ)」が発足した。
チケット不正転売禁止法「効果が継続的に続くように支援」
メンバーは日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会ら音楽業界4団体と日本2.5次元ミュージカル協会、さらにDMM.comやLINE TICKETなど音楽・エンタメ業界8社だ。もともと、同音楽業界4団体は16年8月23日に『チケット高額転売取引問題の防止』を求める「初の共同声明」を発表してから現在に至るまで、チケット高額転売問題に関する認知拡大と理解浸透に寄与する活動を行ってきた。
このほど発足したFTAJは従来の取り組みに加え、「特定チケット」という表示を推奨していく。このチケットには、「チケット不正転売禁止法」が定め、不正転売行為を行うと処罰される場合がある「特定興行入場券」であることを音楽ファンに明示するため、チケットの券面右上に写真2のように表示がついている。
そのほか、音楽・エンタメファンが安心してチケットを購入するための目印となる「FT(フェアチケッティング)マーク」の運用も行う。これは「正規の販売主体であること」、または「やむをえない理由で公演に行けなくなった際に利用される正規の二次流通サービスであること」を示すものだ。これらの取り組みにより、チケットの適正な流通についてさらに安心安全な環境を利用者に提供し、ライブ・エンタメ業界の活性化への寄与を目指していく。
またFTAJに賛同したアーティストとして、ロックバンド「サカナクション」の山口一郎さんがFTAJの発表資料に「チケット不正転売禁止法」に関するコメントを寄せている。
「我々ミュージシャンやアーティストも一緒に取り組んできた『チケット不正転売禁止法』がいよいよ今日から施行されます。純粋に音楽を楽しむファンが適正な価格でコンサートを楽しみ文化の享受や発展につながっていくことを望みます。今後もこの法律の効果が継続的に続くように支援していきたいと思います」
またツイッターで「チケット不正転売禁止法」について投じられている声を見ると、
「これで、ファン、主催者、出演者のサイクルの中で健全に金が回っていくことになる」
「この法案の施行で興業全般のチケット購入がより快適になるとありがたいですね」
「とても嬉しい法律」
など山口さん同様に法律の制定を歓迎するユーザーが多い。一方で、「法律を作るまでしないと無くならないチケットの転売と転売ヤー...。ほんとに改めて欲しいなー」と転売に対する嘆きや、「やっとですかぁ~施行するの遅いくらい」、「逆に今までなんで無かったのレベル」など、法整備の遅れを指摘する書き込みも複数あった。