「2030年の暮らし」のモデルを示す
赤羽台スターハウスの活用方法は、URが6月12日に行なった記者向け内覧会で明らかになった。URが東洋大学と行なう共同研究の一環として、「2030年の暮らし」をイメージしたモデルルームが、3棟あるスターハウスのうちの1棟に設けられたのだ。
3Kの住戸を全面的にリノベーション。最先端のネットワーク・AI(人工知能)技術が存分に注ぎ込まれている「未来の団地」の方向性を示すモデルルームに仕立てた。
例えば、室内には42個のセンサーが張り巡らされ、家電や家具に常に接続。これにより、住人の体温に合わせた最適な室温調整や空調の制御が自動で行なわれる。リビングのスクリーンで「買い物代行」を選択すると、冷蔵庫に不足している食材がそこに表示され、買い物代行サービスを通じて商品を購入できる――。2030年にはこのようなことが実現するだろう、というイメージを示している部屋だ。
URと共同で部屋を開発した東洋大学の坂村健氏は、
「(これからは)一人でいるよりAIと一緒に住みたいという時代が絶対に来る。究極のURの団地の姿は"極上のホテルにずっといる"という感じになるだろう」
と、AI技術を通じた団地生活の高度化に期待を寄せた。
URは「2030年の暮らし」の対比用として、同じスターハウス内に「1962年の暮らし」を忠実に再現した一室も設けた。
3部屋ある畳敷きの和室には、「白黒テレビ」、「ちゃぶ台」など当時の生活を思わせる品を随所に配置。浴槽は内釜式の木製で、トイレの床は板張りだ。濃い茶色の木目が印象的なキッチンは、URの担当者によれば「解体する(団地の)住棟から状態のいいものを持ってきた」もので、残っていたのは奇跡的だったという。
ツイッターで住宅団地の魅力を発信する「団地愛好家」の「公団ウォーカーてるる」さん(@codanwalker)も、こうしたスターハウスの有効活用を喜んでいる。J-CASTトレンドの取材に、
「(全国的に)スターハウスを改修・活用している事例は既にいくつかありますが、今回の赤羽台団地のように新築当時の内装に復元するという壮大なプロジェクトが行われるのは異例中の異例です」
と語った。