「鈴虫寺」の名で親しまれている臨済宗の禅寺・妙徳山華厳寺は、インターネット上で積極的に情報を発信している。
Facebook(フェイスブック)やインスタグラムとSNSを利用した広報活動に加え、2019年6月3日、スマートフォン用公式アプリケーション「ぼちぼちりんねん」をリリースした。
「りんねんくん」と「和尚さん」ほのぼの会話
インスタグラムでは「見たことがない鈴虫寺」をテーマに、境内の動植物や風景、法要の様子を紹介し、フェイスブックでは週に1度仏教の用語を解説している。2018年8月にはマスコットキャラクターの「りんねんくん」が「修行中の小坊主」の視点で「和尚さん」と話したり、教わったりしたことを語る形をとるようになった。例えば、「百花春至為誰開」という、一般にはなじみのない言葉について、
春になるときれいな花がいっぱい咲くでしょ。
「その花は誰の為に咲いていると思う?」と和尚さんに聞かれたの。
「虫さんの餌になる蜜を作ってるんです!」って自信をもって答えたの。
でも、和尚さんは「花はそんなことを考えているのか?」と逆に聞かれちゃったんだ。
と、子どもが話しているような親しみやすい文体で取り上げた。「かわいい」「癒される」と投稿を楽しみにしている人もいるようだ。
ポジティブなメッセージで人々の心の支えに
J-CASTトレンド編集部の取材に答えた住職の桂紹寿(かつら・しょうじゅ)さんによると、インスタグラムでは8800人以上、フェイスブックでは9800人以上が鈴虫寺のアカウントをフォローしており、投稿を読んで参拝に訪れる人もいるという。
そして新たに発表した公式アプリでは寺を身近に感じてもらうために、「今週のメッセージ」が毎週配信される。記者がアプリをダウンロードしてみたところ、りんねんくんのイラストとともに「向き不向きよりも、前向きであること」のようなポジティブなメッセージがランダムに表示される。
同寺には繰り返し参拝に来る人もおり、メッセージがその人々の心の支えになれば、と桂さんは話した。
桂さんによると、SNSやアプリでの広報を行っているのは、同寺には他の寺院と比べて若い世代の参拝者が多いからだ。鈴虫の音色と共に聞ける僧侶によるわかりやすい法話や、直接僧侶に会って悩みを相談できる気軽さ、山門脇に立っているわらじを履いて願いを一つだけ叶えに来てくれるという「幸福地蔵菩薩」などが要因ではないかと、桂さんは考えている。