中国・華為技術(ファーウェイ)は2019年5月21日、東京都内で新製品発表会を行った。カメラ機能を拡充したスマートフォン(スマホ)「HUAWEI P30」をはじめ、新たなラインアップが紹介された。
一方でこの日は、記者との質疑応答の時間が設けられず、いつもと違った対応も。米中関係の悪化により米政府がファーウェイの「締め出し」を図り、米グーグルが基本ソフト(OS)「アンドロイド」のサポートを取りやめるとの報道が流れる中、「異例」ともいえる会見となった。
「これが我々にとって再出発になると信じている」
冒頭、ファーウェイデバイス日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏は、この日の取材の形式を急遽変更した点を謝罪した。記者との質疑応答の時間を設定しなかったことを指すとみられる。続けて呉氏は、来日後の8年間を振り返り、2011年の東日本大震災では被災地で基地局の復旧に従事したことに触れるなど、日本社会とのつながりを強調。「これが我々にとって再出発になると信じている」と述べた。
日本での実績にも触れた。調査会社の発表を引用し、2018年のメーカー別スマホ国内出荷台数で初めて上位5位に入り、また昨年最も売れた「アンドロイドOS」のスマホがファーウェイ「P20」だったと説明。日本の消費者に受け入れられていることを数字で示した。
今回発表された新製品「P30」は、「写真の常識を変える」とうたいカメラ機能に注力している。メインカメラは4000万画素の高解像度。さらに1600万画素の広角カメラ、800万画素の望遠カメラの「トリプルカメラ」だ。暗い場所でも色鮮やかに撮影できる点や、手振れ補正機能、AI(人工知能)により逆光でもイメージ全体を調整するといった点が特徴だ。
米アップル「iPhone」や韓国サムスン電子の「Galaxy」最新モデルと比較し、実際に会場で撮影して写り具合の違いを示して見せた。
米政府の措置に反対、「アンドロイドの発展に貢献してきた」
SIMフリースマホの日本市場をけん引してきたファーウェイ。「P30」も、MVNOサービス各社や大手家電量販店での取り扱いは多い。一方で、米トランプ政権による対ファーウェイの圧力は続いている。記者の質問は受けなかった呉氏だが、発表会の最後に自ら昨今の情勢について触れた。
まず「ファーウェイは米商務省のやり方には反対します」と断言。米政府が、米国製の部品をファーウェイ向けに輸出することを規制する措置に対してとみられる。呉氏は、同社と協力関係にある企業に巨額の損失をもたらし、グローバルでのサプライチェーンにも影響を与え、分断をもたらすと指摘。ファーウェイはこれから救済策や解決方法を探り、影響を最小限に抑えるとした。
グーグルとの関係を示唆するコメントもあった。呉氏は、「アンドロイドはこれまでずっとオープンソースで提供されており、その発展にファーウェイは貢献してきた」と強調。また現在、全世界で販売されているファーウェイのスマホやタブレットに関して、今後もセキュリティーアップデートやアフターサービスには影響ないとし、安心して購入、使用してほしいと呼び掛けた。
呉氏は最後に改めて、質疑応答の時間を設けなかった点につき「申し訳ありません」と深く頭を下げ、準備が整った段階で取材を受ける意向を示した。