得をしているのは誰か
当方、いわば「社命」で始めたツイッター歴が5年ちょっと。実名アカウントだから、消したい過去の一つや二つはある。ただ、そうしたリスクを上書きするほどの利点がある、あるはずだ、あってちょうだい、と考えるから凝りもせず続けているわけだ。
私の場合、いちおうメディア業界人なので、ネットの荒海に実名で漕ぎ出すにあたり、それなりの覚悟はあった。他方、一般の方、それも先の長い若い人が「やらかす」と大変だ。何年たとうが実名を検索されたら、若気の至りやら、未熟さゆえの失敗やらが亡霊のようによみがえる。
事実なら自己責任かもしれないが、身に覚えのないことに尾ひれがついて独り歩き、というケースがままある。砂鉄が鉄矢に化けることは、そんなに珍しくない。
より大きな世界に目を転じれば、フェイク情報の独り歩き、自己増殖は政治や経済を動かすまでになっている。
砂鉄さんは、過去を消せないデジタルタトゥーで「得をしているのは誰か」と、最後に読者に謎をかけている。それは、現在進行形で悪さをしている連中ではなかろうか。
冨永 格