日本スポーツ振興センターは、スポーツくじ(toto・BIG)のウェブ動画「スポーツくじとつながろう」編を、2019年3月25日からユーチューブで公開した。本動画は「一筆書き」で作られており、再生数は1か月余り経った5月14日時点で70万回にのぼる。
原画やアニメーションを制作・監修したのは、「報道ステーション」(テレビ朝日系)のオープニング映像を担当し、グッドデザイン賞も受賞しているアートディレクター・映像作家の奥下和彦氏。本動画制作にまつわる思いを、J-CASTトレンド記者に語った。
1分の動画制作に4か月、全2000枚のイラスト
「スポーツくじとつながろう」編は、スポーツくじ購入から始まる「ドキドキ」が人から人、街から街へと伝わり、日本中へと広がっていく様子を表現している。一本の線が100円玉にはじまり、スケートボードやサッカー、水泳、ラグビーをプレーするアスリートたちの動きをかたどり、さらにスポーツの応援をする人、スポーツ施設、街、そして日本地図へと躍動感たっぷりに次々変化していくのだ。
奥下氏は1分の動画を制作するために全2000枚ものイラストを描き、「準備期間を含めて4か月ほどかけています」と楽しげに語った。
「今回はいつもの一筆書きとは違う試みをしたので、通常と比べて2倍の工数がかかっているのです。これまでは作品を『ロトスコープ(編注:実写をもとにアニメーションを作る方法)』で制作していたのですが、実写をもとにするとイメージがどうしてもそちらに引きずられてしまいます。本動画ではスポーツの『躍動感』をとことん表現したかったのでオリジナルアニメーションを書き、それをベースに一筆書きをしました」
動画の中で特に気に入っているのはサッカーのカットだ。選手がドリブルで守備陣をかわし、シュートを決める場面が描かれている。奥下氏がサッカー経験者で競技に思い入れがあり、「勢いや力強さが伝わるように、また流れがスムーズになるようにとブラッシュアップを重ねました」。
奥下氏「スポーツをより身近に感じてもらえたら」
制作上難しかったのは「具象と抽象のバランスの取り方」だと奥下氏。
「アニメーションがきれいに流れ、『スポーツくじの購入がスポーツ支援につながる』というメッセージが伝わる内容になっているか。同時に、静止画として見た時にも美しく、今の人たちに響くデザインになっているかも気にかけながら、こだわりをもって進めました。僕はスポーツが『色々な人と繋がれる素晴らしいもの』だと思っているので、動画を通じてスポーツをより身近に感じてもらえたら嬉しいです」
日本スポーツ振興センター・スポーツ振興事業部事業推進課広報係長の横田剛一さんは本動画のコンセプトについて「スポーツくじの収益が、次世代選手の発掘育成といった日本のスポーツ振興に役立てられているというメッセージや、スポーツくじの仕組みを難しく説明するのではなく、『シンプルに感情に訴えること』を掲げた」と話す。
「スポーツには、アスリートだけでなく、街のスポーツ教室や施設でスポーツを楽しむ人、それを応援する人問わず、子どもから大人までをつなげ、そして街全体を活性化させる力があります。その『つながり』が見ただけで伝わり、『スポーツくじはスポーツに役立っている』ことも直感的にわかる動画になっていると思います」