映画制作は本当に「電車を止めない」ため
「カメ止め」との共通点は予算面にも見られる。
銚子電鉄が映画制作費確保のため、2019年4月19日から開始したクラウドファンディングでは、目標金額を500万円に設定。この金額はそのまま映画の予算になる。制作予算約300万円といわれる「カメ止め」同様の低予算ぶりだ。
クラウドファンディングでは、目標金額に未達でもプロジェクトを実施する方式を採用しているが、未達の場合は竹本社長みずから「自腹を切る」と断言した。そこまでして映画制作にこだわるのには、銚子電鉄が抱える深刻な事情がある。
同社では電車の運行に必要な変電施設の老朽化が進み、そのまま放置すれば電車の運行ができなくなる。施設の修繕には最低でも1億円の自社負担が必要だが、沿線人口の減少などで厳しい鉄道経営を迫られている同社が簡単に捻出できる金額ではない。
そこで考え出したのが、映画制作だった。低予算映画を作り、ヒットして多くの興行収入を得られれば、変電所の修繕に充てられる。そうすれば電車運行上の支障がなくなる。
竹本社長は取材の最後に、
「電車を止めさせないために、"電車を止めるな!"をつくるんです」。
と熱い思いを語った。