1曲目「ロータスランド」、2曲目「コロンビーヌ」
2つの小品 Op.47は、1905年に彼が作曲した曲です。1曲目が「ロータスランド」、2曲目が「コロンビーヌ」という題名がつけられています。1曲目は名ヴァイオリニストにして作曲家、F.クライスラーによってヴァイオリンとピアノに編曲され、彼自身によって頻繁に演奏されたので、大変有名になり、スコットの代表作として取り上げられることも多くなっています。
「ロータスランド」はそのまま訳すと「蓮の国」となって、仏教にゆかりの深い蓮の花ですから、どこか遠い東洋の国の様子、とも解釈できますが、実はスコットの父親は古代ギリシャの研究家でもありました。そして「ロータス」とは、「蓮」という実在の花のほかにも、ギリシャ神話の夢見心地になるという実をつける架空の植物、という意味もあるのです。
右手に現れる独特の旋律が、どこか夢の国にたたずんでいる様子を表している・・そんな聴き方もできるエキゾチックな曲です。
コロンビーヌはルネッサンス時代の、イタリア宮廷の即興仮面喜劇の1つのキャラクター、いわゆる「道化師」の1つです。
いずれの曲も2分程度、通して弾いても5分に満たない「小品」ですが、その詩的な題名と相まって、独特の世界を味わわせてくれる、個性的な曲です。
英国のクラシック音楽、というのは、まだまだ伊・独・仏などのものに比べると、世界的にはレパートリーが知られていませんが、素敵な曲がたくさん存在します。
本田聖嗣