「英国のドビュッシー」シリル・スコット 「2つの小品 Op.47」が描く独特の世界

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1曲目「ロータスランド」、2曲目「コロンビーヌ」

   2つの小品 Op.47は、1905年に彼が作曲した曲です。1曲目が「ロータスランド」、2曲目が「コロンビーヌ」という題名がつけられています。1曲目は名ヴァイオリニストにして作曲家、F.クライスラーによってヴァイオリンとピアノに編曲され、彼自身によって頻繁に演奏されたので、大変有名になり、スコットの代表作として取り上げられることも多くなっています。

   「ロータスランド」はそのまま訳すと「蓮の国」となって、仏教にゆかりの深い蓮の花ですから、どこか遠い東洋の国の様子、とも解釈できますが、実はスコットの父親は古代ギリシャの研究家でもありました。そして「ロータス」とは、「蓮」という実在の花のほかにも、ギリシャ神話の夢見心地になるという実をつける架空の植物、という意味もあるのです。

   右手に現れる独特の旋律が、どこか夢の国にたたずんでいる様子を表している・・そんな聴き方もできるエキゾチックな曲です。

   コロンビーヌはルネッサンス時代の、イタリア宮廷の即興仮面喜劇の1つのキャラクター、いわゆる「道化師」の1つです。

   いずれの曲も2分程度、通して弾いても5分に満たない「小品」ですが、その詩的な題名と相まって、独特の世界を味わわせてくれる、個性的な曲です。

   英国のクラシック音楽、というのは、まだまだ伊・独・仏などのものに比べると、世界的にはレパートリーが知られていませんが、素敵な曲がたくさん存在します。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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