2024年度に1万円札、5000円札、1000円札の紙幣が20年ぶりに刷新されることが発表された。新たなお札の顔は、1万円札が渋沢栄一氏、5000円札は津田梅子氏、1000円札は北里柴三郎氏で、裏面は1万円が東京駅丸の内駅舎、5000円は藤の花、1000円は富嶽三十六景の神奈川沖浪裏となる。また、2021年度にはさまざまな偽装防止対策を施した2色3層構造の500円硬貨も新たに発行されるという。
果たして新札登場は景気への刺激となるのか、近年多くの企業が参入し、さらなる発展が見込まれるキャッシュレス化はどう進むのか!?今回は貨幣・紙幣の歴史や背景などにまつわる本を3冊ご紹介。
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近代日本資本主義の源流を探り追求
「日本の急速な近代化はなぜ可能だったのか。それは、徳川時代と明治時代の連続・非連続を統合的に把握してはじめて理解できる―では、どのような方法を用いればその"統合的把握"が可能なのであろうか。さまざまな方法が考えられるが、私は、それを一身に具現していると思われる一人物を選び、その人の思想と行動を通して把握しようと試みた。その人が、渋沢栄一である。(本書より)」。
『渋沢栄一 近代の創造』(著者:山本七平 祥伝社 1512円)では、1863年の高崎城乗っ取り計画から1873年の第一国立銀行頭取就任までの約10年間、渋沢栄一を通じて幕末から明治への転換、徳川封建性から明治的近代国家への移行がどのようにして行われ、なぜそれが可能であったかといった近代日本資本主義の源流を探り追求する。
「人類史の中の"明治時代"-渋沢栄一を生んだ時代と農村の風土」「経営型農民・尾高藍香の貨幣論-渋沢に最も大きな影響を与えた従兄の思想」「高崎城乗っとり計画の中止-決行直前、三十六時間の激論で、何が話されたのか」「異端国家・日本のダイナミズム-渋沢栄一は、いかにして農民から武士となったか」ほか。
キャッシュレス社会はどう進化する?
PayPay、LINEペイ、楽天ペイなど、政府の旗振りのもと、吹き荒れるキャッシュレスの嵐。米・中の巨大資本も虎視眈々と狙う日本の300兆円消費市場を誰が制するのか!?フィンテックの進化がもたらす信用格差社会をいかに生き抜けばよいか...。『キャッシュレス覇権戦争』(著者:岩田昭男 NHK出版 842円)では、激動の業界と私たちの暮らしの行方について、NPO法人の「消費生活とカード教育を考える会」の理事長も務める消費生活ジャーナリストの岩田昭男氏が読み解く。
「現金の壁を突破せよ!―キャッシュレス狂騒曲」「キャッシュレス社会はアメリカで始まった」「キャッシュレス先進国に躍り出た中国」ほか全5章。
お金の誕生と歴史を写真と図解で紹介
今から1400年ぐらい前に使われはじめたお金。現代の"円"にいたるまで、さまざまなお金が現れたり、消えたり複雑な歴史をたどっている。
『ビジュアル 日本のお金の歴史』(全3巻。「飛鳥時代~戦国時代」著者:井上正夫、「江戸時代」著者:岩橋勝、「明治時代~現代」著者:草野正裕 ゆまに書房 各2700円)では、古代から現代に至るお金の歴史を通して人々の暮らしや経済の仕組みを豊富な写真や図版とともにわかりやすく解説。お金を通して、日本経済史を学ぶこともできる。ほかにもニセ金づくり、悪鋳などお金にまつわるおもしろエピソードも紹介している。
「明治時代~現代」編は、「円の誕生」 「紙幣を発行できる銀行はいくつもあった」 「日本銀行券の発行」「日銀にお金を印刷させる-打ち出の小槌」「1ドル=360円レートの設定」「貨幣の電子化」ほか。