フェミニズムからの不信
国政は男性向きという高村説には、多くの異論が出そうだ。国家の運営を何世紀も男に任せてきた結果、争いの絶えない世界が出来上がったじゃないかという意見。あるいは、何らかの強制なしに男性偏重の現状は変わらない、日本の政界はそれほどの異常事態だという見方も成り立つ。先週も書いた通り、私もそちらに近い。
高村さんは「無理な是正」に懸念を示し、誰もが活躍できる「物理的な環境の整備」を促している。訴えるのは、結果ではなく機会の均等である。そんな最低限のルールも日本ではままならず、医学部入試のような「調整」が連綿と続いてきたと。
この現状こそ「無理な是正」をしてでも早急に変えるべきだと私は考えるが、高村さんは機会を平等にして様子を見ようという立場。多くの男性が戸惑いなく支持できる論考ではある。ただ、そこに「現状維持」派が紛れ込まないとは限らない。
フェミニズム側の不信はそれほど強いと、私たち男は心すべきだろう。
冨永 格