「万葉集」にわかにブーム到来 「令和」出典で脚光

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   「万葉集ブームが起こるんじゃないですか」と作家の林真理子さんが話していたが、その通りになった。新元号「令和」の出典が万葉集だとわかると、万葉集関連の本がたちまち売り切れ、出版社は増刷し、ゆかりの地が脚光を浴びている。今回は初心者もよくわかる解説書や楽しい旅の本など3冊を紹介したい。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」でも特集記事を公開中。

「梅花の歌三十二首」の序文も掲載

   「令和」の文字が引用されたのは、大伴旅人によるといわれる万葉集「梅花の歌三十二首」の序文にある「初春の令月にして、気淑く風和ぎ」の一節だった。

   『万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(編者:角川書店 734円)は、その序文をふりがな付きで掲載している。日本最古の歌集から名歌約140首を選び出し、天皇や宮廷歌人、農民や防人ら様々な人々の恋の歌や家族を思う歌、死を悼む歌などを丁寧に紹介している。改めて万葉集を勉強したいと思う人にもおススメだ。

   目次は「早春の妻問い」「大和三山の妻争い」「額田大王と大海人皇子」「初夏の香具山」など、万葉人の心がわかるよう構成している。

秀歌から浮かび上がる隠された史実

   万葉集は古今集のような後世の歌集とは性格が大きく異なっている。単に秀歌を集めただけではなく、古事記や日本書紀成立以降の政治の実態や隠された史実を歌に託した側面がある――。

   『万葉集で解く古代史の真相』(著者:小林惠子 祥伝社 950円)は、「秀歌から歴史の闇が浮かび上がる!」と訴え、封印された史実を告発するという万葉集のもう一つの顔を明らかにする。

   目次は「額田王と『天皇暗殺』」「消された天皇」「『万葉集』成立の謎を解く」の3部。他の著書に『聖徳太子の真相』『古代倭王の正体』などがあり、日本古代史をつねに国際的視野から見つめ、従来の定説に挑戦している。

全国各地の万葉の地を訪ね歩く

   万葉集の「梅花の宴」の舞台とされる福岡県太宰府市をはじめ、万葉集とゆかりのある地に大勢の人が訪れている。旅行会社もツアーを売り込んでおり、10連休となる今年(2019年)のゴールデンウイークではどこでも大賑わいになるだろう。

   『万葉の旅 上 改訂新版』(著者:犬養孝 平凡社 1296円)は、全国各地の万葉の地を訪ね歩き、今も息づいている万葉の自然と万葉びとの歌心を説き起こしてくれる。著者は万葉集研究に生涯をささげた「万葉学者」で、各地に万葉歌碑の建立に尽力するなど長年の業績により文化功労者に選ばれた。

   紹介されているのは「初瀬・桜井」「山の辺の道」「飛鳥・藤原京」「宇陀」「葛城・宇智」「吉野」「平野南部」「奈良」「生駒・龍田」。

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