当コラムは「40対20」
ジェンダーに関わるテーマは、なにをどう書いても、尖った反応がありうる。新聞コラムからツイッターまで、持論を展開するなら脇を締め、覚悟を決めるべし。
酒井さんの文章には、しかし、そんな緊張感は見当たらない。おじさん読者への配慮はあっても、妙に媚びることなく、女性の思いを男の耳が受け止められる「音域」で易しく、優しくつづっている。フェミニズムの側からは物足りないだろうが、いい案配だと思う。アウェイに近い男性誌での連載が15年、705回も続いたのは「たまたま」ではありえない。そこには、絶妙なバランス感覚があったはずだ。
私は、社会的なチャンスは男女平等にせよという立場である。男女の機会がこれだけ不均衡な日本においては、クオータ制などを課しても、女性の社会参加を早急に高めるべきだと考える。酒井さんは同じ期待を、より柔らかく「男女はもっと仲良くなれる」と表現したのではないだろうか。
「コラム遊牧民」はこれが60回目。採り上げた雑誌コラムの筆者をカウントしたところ、男性40に対し女性が20だった。3分の1という女性比率は、国会議員の割合でいえば先進国中位といったところか。ちなみに日本(衆参両院)は14%弱である。
平成から令和に変わるのを機に、当コラムの人選も半々を目ざす...と言いたいところだが、性別に関係なく、これまで通り面白さと私の都合で選ばせていただく。
冨永 格