準々決勝 明豊vs龍谷大平安
1、2回戦では、投手陣の好投が目立った両チーム。龍谷大平安には、左腕の野澤秀伍、明豊には若杉晟汰と大畑蓮の二人が活躍を見せたが、この試合の先発の先発マウンドに上がったのは、共に今大会初登板の投手だった。
龍谷大平安の先発マウンドに上がったのは、原田英彦監督が「ダルビッシュのレベルになれる素材」と大きな期待を寄せる背番号13の橋本幸樹。しなやかで手元でピュッとくる球質のボールを投げる投手で、まだまだ課題は多くダルビッシュとまではいかなくても、原田監督が期待するのも頷ける投手だ。
橋本はカーブなどの緩急も織り交ぜる投球で、強打の明豊打線をかわすように抑えていく。
一方、明豊の先発は背番号18をつけた寺迫涼生。元々昨年の夏までは、明豊の背番号1を背負っていた投手であるが、昨秋は肘痛のため戦線を離脱していた。寺迫はこの春から復帰を果たし、選抜に向けて調整を続けてきた。
元々エースを任されてただけあって、寺迫は力強い投球で龍谷大平安打線を抑え込んでいく。最速は143キロを記録して、試合前に明豊の川崎監督が「投げ切ってくれたら100点」と語っていた5回を、安定した投球で投げ切った。
後半戦に入ると両チームとも継投に入る。
明豊は「試合前のプランから考えていた」通りに、6回から背番号1との若杉を投入。ランナーを許しながらも、粘りの投球で後続を切って取り、自軍の援護を待つ。
龍谷大平安も、7回裏に一死一塁で5番・薮田を迎えたところでエースの野澤がマウンドに上がる。野澤も、若杉に負けじと粘りの投球で明豊打線を振り切り、スコアボードに「0」を並べていく。
互いに決定打が出ないまま、試合は延長戦に突入した。
決着は延長11回だった。
明豊は二死ながら満塁のチャンスを作り、サヨナラの大チャンスを作る。ここで打席に入るのは、途中衆生の6番・後藤 杏太。カウント2-2からの直球を振りぬくと、打球は右中間を破るタイムリーヒットになり、三塁ランナーの宮川雄基がサヨナラのホームを踏んだ。
試合後、明豊の川崎監督はしっかりとゲームメイクをした先発の寺迫を手放しで褒めた。
「素直に生徒が頑張ってくれて感無量です。寺迫は100点満点のピッチングです。ケガで悔しい思いをしてきた生徒で、この舞台で一番のピッチングをしてくれてうれしいです」
また寺迫自身は、この試合で有効になったボールにツーシームを挙げた。このツーシームは、復帰して間もない頃に、なかなか球速が上がらなかったことから手に入れようと練習したと寺迫は語る。
「右打者のインコースに使いました。それを意識してアウトコースに投げて打ち取ることができました」
新球・ツーシームは威力を発揮し、右打者を詰まらせ内野ゴロの山を築いた。
これでベスト4入りを果たした明豊は、4月2日の準決勝で習志野と対戦する。投手陣にさらに厚みが増した明豊が、関東の実力派を相手にどんな野球を見せるか注目だ。