2回戦 習志野VS星陵
優勝候補・星稜と試合巧者・習志野の一戦。習志野のしたたかさと気持ちの強さが優勝候補を打ち破った試合となった。
習志野の先発は右アンダーの岩沢知幸。110キロ前後のストレート、カーブ、スライダーを投げ分ける技巧派右腕で、1回裏は無失点で切り抜ける。しかし2回裏は8番岡田の適時打を浴びて降板。小林徹監督は岩沢について、「岩沢については打順の1周り持てばいいかなと思っていました」と起用法を説明し、その上で「彼は最大限の仕事をしてくれたと思います」と評価した。
そして2回途中からエース・飯塚脩人が登板。飯塚はスタミナ切れを気にしないぐらい飛ばしていた。ストレートのスピードは常時140キロ~146キロを計測しており、そのストレートは今まで投げた中で伸びがあった。そのストレートに星稜打線は沈黙した。飯塚は「根本(翔吾)が途中でベンチに下がったので、勝って次の試合でグラウンドに立たせたい。そういう思いで投げました」
習志野ナインはエースの気迫に応える。4回表、二死一、二塁の場面で6番竹縄俊希がスライダーを捉え右前適時打で同点に追いつく。
習志野打線は星陵の投手・奥川恭伸対策としてバットを短く持つこと。その上で何を絞るかは選手たちに任されていた。竹縄自身、「あの時はスライダーを打ったんですけど、ヒットになったのは強い気持ちを持って食らいついたからだと思います」
さらに7回表、8番兼子将太朗がストレートをはじき返し右前安打。二死二塁のチャンスを作り、敵失から勝ち越しに成功する。
エース・飯塚は気迫の力投。終盤になるとストレートは常時140キロ前後から135キロ前後まで落ち込んでいた。それでも強い気持ちは保ち続けていた。
「僕がスタミナがないのは自覚していますし、スタミナが切れていたのは自覚していました。でも強い気持ちを持ち続けて投げました」
その気迫が星稜打線を上回ったのだろう。135キロ前後のストレートに対し、星稜打線はことごとく詰まり、なかなか捉え切れていなかった。
そして9回表、エースの気迫に応えたのがこれまで受け続けてきた兼子だ。「飯塚のために打ちたかったです」と奥川が投じたストレートを捉えた打球はレフトスタンドへ。大きな追加点となった。「ストレートに狙いを絞っていて、うまく打てて外野の頭を超えるかなと思ったんですけど、入ってくれてよかったです」と笑顔を見せた兼子。昨秋は打率. 125に終わり、悔しい思いをした兼子は打撃強化をテーマに掲げ、練習に取り組んできた。「スイングスピードは速くなりましたし、以前よりもボールを長く見られるようになりました」と手ごたえをつかんで臨んだセンバツだった。このセンバツでは構えがシンプルになり、以前より構え遅れがなくなったことが好投手攻略につながった。
そして飯塚は9回も抑え、見事に優勝候補・星稜を破り、ベスト8進出を決めた。飯塚の力投に小林監督は「かなり気合が入っていたので、それが空回りしないことを祈っていましたが...。良く投げましたし、100点満点のピッチングでした」と手放しで絶賛した。
習志野は堅い守備を見せ、星稜ナインの心理的な隙をついて、巧みな走塁で得点をもぎとり、また牽制で走者を刺すなど最後まで冷静だった。そして、絶対に負けたくないという執念がこもった投球と打撃。習志野の戦いぶりは頭脳的でありながら気迫の強さも伝わってくる。それが両立して、強者を破ることができるのだ。