2回戦 市立和歌山VS高松商
3月28日、第91回高校野球選抜大会(以下、春の選抜)6日目の第2試合は市立和歌山高校(和歌山)対高松商高校(香川)だった。
初回から試合は動く。1回表を無失点に切り抜けた市立和歌山高校は2死無走者から打席に入った緒方隆之介が、カウント2ボール1ストライクからの4球目をフルスイング。打球は左中間スタンドの深いところに飛び込む本塁打となった。思わず緒方はガッツポーズ。会心の一振りで市立和歌山高校が1点を先制する。
続く2回、市立和歌山高校は2死一、二塁から1回戦では出番のなかった壱岐有翔が中堅の頭を大きく超える2点適時二塁打を放ち、3対0とリードを広げることに成功する。
さらに4回、市立和歌山高校は1死満塁のチャンスで再び壱岐に打順がまわる。この打席の間にバッテリーエラーがあり2点を追加。なおも1死三塁で打席の壱岐は投手の横を抜ける適時打を放ち6対0。壱岐はこの試合3打点とスタメン起用に応える大活躍となった。
一方の高松商高校は4回まで市立和歌山高校先発の柏山崇に無安打に抑えられ、チャンスを作ることができなかった。しかし5回、先頭の上田蓮が安打で出塁すると、篠原一球は外角の球をうまくさばき左前へしぶといあたり。連打で無死一、二塁とチャンスを拡大。柏山から得点を奪うチャンスだった。しかし、後続が倒れ無得点。とは言え、攻略の糸口を掴めたかのような攻撃だった。
6回、高松商高校は連続四球で無死一、二塁のチャンスを作ると、1死後に浅野怜が安打で続き1死満塁。ここで先程初安打を放った上田が、詰まりながらも右前に落とす2点適時打。反撃を開始する。市立和歌山高校はこのタイミングで柏山を諦め、エースの岩本真之介を投入。その岩本は1死一、二塁のピンチをわずか2球。6-4-3の併殺打で切り抜ける。1回戦で呉高校相手に延長11回2失点、2安打に抑え込んだその実力を2回戦でもいきなり見せた。
岩本は7回を無失点で切り抜ける。8回、9回はともに1死一、二塁のピンチを招くが、得点を許さない。市立和歌山高校が6対2で高松商高校に勝利した。市立和歌山高校はベスト8進出1番乗りとなっている。
この試合、高松商高校が7安打、市立和歌山高校が8安打と大きく変わらない。四球の数は高松商高校が5個、市立和歌山高校が2個。敗れた高松商高校のほうが多くの走者を出していた。失策数もともに2個ずつ。これらの数字だけを見ると、高松商高校が勝利してもおかしくない内容であったことがわかる。
しかし、結果は違った。大事なところでのバッテリーエラーが響いてしまった。そして長打の数が差を分けた。高松商高校は長打が0。一方、市立和歌山高校は本塁打を含め3本の長打。そのうち2本が得点に結びついている。
スコアボードに現れる安打や失策は、ほぼ同じでも結果が大きく変わる。そんな試合だった。