温度や時間、風量を自由に設定し、コーヒー豆をこだわって焙煎(ばいせん)したい――。自分好みの一杯をとことん追求したい上級者に向け、パナソニックが2018年12月上旬に販売開始した「The Roast Expert(ザ・ロースト エキスパート)サービス」体験会が、19年3月19日に行われた。
J-CASTトレンドは東京・渋谷にある、カフェやワークスペースなどの複合施設「100BANCH」を訪れ、その模様を取材した。
焙煎にこだわり、質の高い一杯を追求するプロに好評
会場に足を一歩踏み入れると、途端に香ばしいコーヒーの香りが漂ってきた。来場者たちが、焙煎時間やコーヒー豆の温度変化などをグラフにした「焙煎プロファイル」を作ってThe Roast Expertの使用感を確かめたり、コーヒーを入れて「カッピング」というテイスティング作業をしたりと、思い思いに体験を楽しんでいたためだ。
パナソニックは17年6月から、焙煎したてのコーヒーを手軽に自宅で楽しめる「The Roast Basic サービス」を展開している。毎月配達されてくるコーヒー生豆のパッケージにあるQRコードを、iPhoneほか「iOS」を搭載したデバイスで読み込むと、プロの焙煎士が設定した最適な焼き加減データをダウンロードできる。それを活用して、家庭用小型スマートコーヒー焙煎機で豆をローストするのだ。記者も会場で焙煎の様子を目にしたが、生豆を焙煎機上部の穴に入れて10分ほど待っていると、浅煎りのコーヒー豆が簡単にでき上がった。
The Roast Expertはさらにそこから一歩踏み込み、焙煎知識を持つプロやマニアに向けたサービス内容になっている。iOSデバイスにダウンロードしたThe Roast Expert対応の専用アプリを通じて「1℃」、「1秒」、「1%」という細かな単位で加減を変え、独自の焙煎プロファイルを作れるのだ。実際、会場には熱心にメモを取りつつスマートフォンを操作し、焙煎温度や風量を調節している人が見受けられた。
「昨今、カフェだけでなくコンビニでもおいしいコーヒーが簡単に手に入るようになりました。そうしたなかで、ライバルと差を付けたい、さらに質の高い一杯やオリジナルの味を追求したい、と考えるプロの方に好評です」
こう語るのは、パナソニック・アプライアンス社でThe Roastプロジェクトの事業リーダーを務める井伊達哉さん。同じコーヒー豆を使っても、焙煎する人が違えば異なるプロファイルができ、また少し温度や時間を変えるだけで、同じ人が焙煎しても違う味わいが生まれる。独自性があり、かつおいしいコーヒーを作るうえで欠かせない「試行錯誤」の作業を助けるのがThe Roast Expertサービスだ。