企業公式ツイッターが抱える問題のひとつに「ツイッター運用に対する、社内の理解」がある。ユーザーに受け入れてもらえるよう、ユニークな言い回しで商品やサービスをPRしたり、親しみを持ってもらおうと私的な内容をツイートしたりしていると、同僚や上司から「業務と関係ないツイートをしないように」と指摘される場合が、調べた限りではあるようだ。そのため、「社内で理解されない」と嘆く担当者がいる。
ところが一方で、社内の理解がたっぷり過ぎて別の「叱り方」をされている企業公式ツイッターも存在する。
「お行儀よくしていても意味がない」と営業部から指摘が...
「上司や同僚から『内容が堅い!業務連絡か!楽しくないと誰も見ないぞ!もっと趣味の話とかしろ!他の企業さんとも交流しろ!』と注意されたアカウントがこちらになります」
このようにツイートしたのは、幼稚園や保育園に無料配布されているぬりえ絵本「フルーツ戦士オレンジマン」を発行する「オレンジマン編集部」のアカウントだ。2019年2月22日の投稿だが、いったいどんな経緯で注意されたのか、J-CASTトレンドは2月26日、同編集部のツイッター担当者に電話取材した。
「ツイッターは、私が『やってみたい』と提案し、16年11月に登録しました。会社のアカウントなので羽目を外さないようにと、しばらく大人しい内容の投稿をするだけでしたが、18年になって営業部の社員に『うちのツイッターってどんな状態?』と聞かれたんです。面白いツイートやキャンペーンで人気を得ている他社の公式アカウントを見て、『SNSはビジネスに有用だ』と思ったようです」
当時はまじめな投稿が多かったため、営業部からは「お行儀よくしていても意味がない」と前述のツイートにあるような注意を受けたそう。今では商品のPRだけでなく毎朝あいさつのツイートをしたり、季節のイベントに関連する投稿をしたりしているが、ツイッターの運用方法については「いまだに各所からちょくちょくツッコミが入ります(笑)」。ただ、周囲が「やるからにはちゃんと」と、ツイッターに理解を示してくれて「ありがたい」と語る。
「初めは投稿する画像の編集作業ひとつとっても『手間をかけてはいけないのでは』と委縮していました。でもあまり手をかけないと『画像にもっとこだわらないと!』と周りからアドバイスされるんです(笑) そういう環境だと動きやすいし、ちゃんとやらなきゃと思います」
「『新しい動き』生み出し消費者にアピールしたい」
ただ、最初から全社員がツイッターに好意的だったわけではない。ツイッター自体をよく知らず、どう有益かわからない人からは「反対はされませんでしたが、提案した時に『なぜやりたいの?』と聞かれました」。では、どう説得したのか。
「多くのフォロワーを獲得している企業アカウントを挙げて説得材料にしました。例えば『パインアメ』、『ノザキのコンビーフ』、『【公式】販促花子2代目』ですね。ツイートだけでなくさまざまなキャンペーンを常に手掛けて発信しているアカウントには、ユーザーが『いいね』や『RT(リツイート)』、『リプライ』を通じて参加できます。弊社もツイッターで日々そうした『新しい動き』を生み出し、消費者にアピールしたいと訴えました」