北欧フィンランドの首都・ヘルシンキ市が、2019年2月22日~23日に東京ビッグサイトで行われた世界最大級のスタートアップ・テクノロジーイベント「Slush Tokyo 2019」に出展した。
今年はフィンランドと日本の外交関係樹立100周年のメモリアルイヤー。そのためヘルシンキ市は、最先端の都市デザインや住環境、芸術といった都市の魅力を日本で広めようと活動している。今回のイベント参加も、その一環だ。
ヘルシンキで事業始めたい人も呼び込みたい
フィンランド発祥の「Slush Tokyo」はこれまでにシンガポールや上海などさまざまな都市で開催されているグローバルイベント。東京開催は今年で5回目となる。
2月22日、J-CASTトレンドは「Slush Tokyo 2019」内のヘルシンキ市ブースを訪れた。展示されていたのは、VR(仮想現実)ヘッドセットを身に着け、都市を代表する名所・建築物を実際に訪れたかのような体験ができる「VRヘルシンキ」だ。記者も試したところ、ヘルシンキ大聖堂の前に広がる観光名所・元老院広場をはじめ、フィンランドの伝説的な建築家、アルヴァルト・アールト氏の自邸、海に囲まれた豊かな自然風景が広がるロンナ島など、3つの場所を感じられた。
VRヘルシンキでは時間の経過とともに天気や季節が変わる様も楽しめる。例えば、元老院広場では少し待っていると雪が降ってきたり、アルヴァルト氏の自邸では、窓の外側に生えている木がゆっくりと赤く色づいたりする。ブース内ではあまり自由に動き回れなかったが、元老院広場の石畳やアルヴァルト氏宅の家具に、思わず手を伸ばして触ろうとしてしまった。
ヘルシンキ市と共同でVRヘルシンキの制作に当たったVRスタジオ「ZOAN」社のチーフマーケティングオフィサー&パートナー、ローラ・アラ氏は取材に対して、
「旅行するには費用が掛かりますし、加齢や障害のために長旅がつらい人もいます。さまざまな事情で旅行が難しい人たちにもVRヘルシンキで気軽にヘルシンキを訪ねてもらいたい。また、ヘルシンキで新たにビジネスを始めたい人たちも呼び込みたいと考えています」
と述べた。VRヘルシンキに、「旅行」や「起業」に対するハードルを下げる役割を期待しているようだ。今後VRヘルシンキは一般向けに公開され、誰でもダウンロード・利用可能になる。ヘルシンキ市が掲げるVR上の訪問客数目標は100万人だ。
そのほか、プレゼンテーションではVRヘルシンキについて、体験可能な名所・建築物をさらに増やすほか、現代だけでなく過去のヘルシンキの街並みも見て回れるようにしていくことが明かされた。そのほか、他人と一緒にVRヘルシンキを利用し、複数人で観光できるようにする機能も追加される予定だ。