小室圭さんの文書 能町みね子さんは言葉尻にこだわり「失敗」の宣告

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ネタへの配慮と読者サービス

   私の連載も「コラム尻とらえ隊」みたいなコンセプトなので大きなことは...いや、むしろ言えると思うのだが、よそ様の文章を引用しての論評は、まさに全人格を問われる行為である。曲解や誤解をできる限り排し、意のあるところを正確にくみ取り、筆者に誠心誠意寄り添い、かつ面白い読み物に仕立てなければならない。

   能町さんも心得たもので、小室さんをネタにしながらも慎重に書き進めているのが分かる。コラムの素材である小室文書については大意「弁護士の助言を加味した文面かもしれないが、おおむね本人が書いたものとして扱わせてもらう」との「お断り」つきである。

   「元婚約者の方」を「A氏」などにできなかったのかという疑問にも、「犯罪者みたいでイメージが悪い。ほかの呼び方もないので不運といえば不運」と自答している。

   そうした配慮をしたうえで、強欲な読者を満足させるのが風刺のプロであろう。私はプロらしい強烈なサービス精神と技術を、コラム本文とは別のところで見つけた。

   能町コラムは絵心のある筆者自身の挿絵も名物だ。今回は、NYでわが道を行く小室さんの絵に、「この人自身が『元婚約者の方』であるように思えてしまう...」のコメントが添えてある。こんな「優しげな意地悪」こそがプロの案配だと思う、のです。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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