街の書店で、不思議なモノを目にした。ラグビーボールを半分に切ったような半楕円形「らくがきボール」という絵本だ。手に取ってみると、監修に「日本ラグビーフットボール選手会」の文字が...。発刊元の小学館を取材した。
2015年ラグビーW杯でも活躍した畠山選手がサポート
同書は、幼児向けの落書き絵本。小学館のウェブサイトを見ると「ラグビーボールは、ボールなのに丸くない。ヘンな形。楕円形の不思議な形です。ちょっと楕円球にらくがきしてみよう!」とあった。
要は「半楕円形」の絵本を開いて「楕円形」にし、そこに好き勝手に描ける。作者は人気絵本作家の鈴木のりたけ氏で、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会を小さな子でも楽しめるようにと「日本ラグビーフットボール選手会」が監修したものだ。同選手会長でもある畠山健介選手が、絵本の宣伝にも積極的に参加するなど全力でサポートしている。
畠山選手は仙台育英高から早稲田大、サントリー、そして日本代表でも右プロップ(スクラムを支える重要な位置)で活躍。2015年W杯南アフリカ戦では、日本代表の大逆転劇を演じた立役者の1人である。
畠山選手は、
「鈴木先生の素晴らしい作画、視点、アイデアによってついに完成したこの『らくがきボール』は、ラグビーボールは見る人によって見え方、感じ方が異なるという視点を描いてくださった本であり、想像力や多様性を大事にするラグビーというスポーツの本質も描かれているのではないでしょうか。この絵本が、ラグビーボールのように人と人を繋ぐ大切な存在になり、さらには多くの子どもたちにとってラグビーを知るキッカケになり、ひいては日本ラグビー界の裾野を広げる一役を担っていくことを期待しています」
と話している。
絵本でラグビーボールを面白がってもらえる
編集担当者によると、絵本の企画は2017年6月に立ち上がったという。
「ラグビー選手にとっては『当たり前』のカタチである楕円球というものを、鈴木先生が『不思議な形』として面白がってくださり、『絵本を通じてラグビーをやらせることはできないけれど、ラグビーボールを面白がってもらうことはできる』と、この『らくがきボール』のアイデアが生まれました」
鈴木氏は、絵本製作のため、高校ラグビーの試合やトップリーグの開幕戦などを実際に観戦して取材を行ったそうだ。企画から約2年半の期間を経て、2019年2月1日から全国の書店、またインターネットで販売を開始した(本体1300円+税)。