超絶テクニックのピアニスト モシュコフスキのスペインへの情熱

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軽快な連打から始まる6分ほどの曲

   作曲家としての彼は、20世紀に入っても、19世紀的なクラシカルかつロマンティックな作風を変えることがありませんでした。そして、なにより優秀なピアニストだったため、テクニカルかつ軽快な作品が多く、20世紀のヴィルトオーゾピアニストたちにも、好んでレパートリーとされたのです。

   「スペイン奇想曲」は1885年、おそらく彼がピアニストとして絶頂期にあった時期に作曲された作品です。他人の作品を演奏するときも評価の高かったモシュコフスキですが、自作の演奏でより一層評判となっていましたから、おそらくこれも彼自身のレパートリーとして作曲されたものです。軽快な連打から始まる6分ほどの曲ですが、技巧を凝らした、それでいて聴きやすい、生き生きとした曲です。

   弟子の多かったモシュコフスキらしく、彼は、「スペインの踊り」「スペインのアルバム」と題名に「スペイン」が入ったピアノの連弾曲を数多く残しています。ピアノの猛テクニックを生かすため、情熱を感じさせるスペイン、というようなモチーフがお気に入りだったのかもしれません。

   無理に当てはめれば「ポーランド系ユダヤ人」というべきモシュコフスキは、真のコスモポリタンで、しかも、エネルギッシュな彼のピアニズムは、南国スペインと相性が良かったようです。まだまだ、寒い時期が続きますが、ぜひ、モシュコフスキの「スペイン狂詩曲」を聴いてみてください。体も心も温まると思います。

本田聖嗣

   本田聖嗣プロフィール

   私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でフプルミエ・プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目のCDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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