年明け休みの日――。いつものように、コンビニの書籍棚を眺めていると「週刊文春」が目に留まった。しかし...何かが、違う。よく見ると「WOMAN新創刊」の文字が表紙に踊っていた。
新聞や雑誌の「紙媒体不況」が叫ばれる中で「新創刊」って...? しかも「WOMAN」って、何?? 気になって仕方がないので、発刊元の文藝春秋を取材した。
「週刊文春」読者の4~5割は女性
同誌編集長を務める井崎彩氏によると、
「ご存知ない方も多いのですが、実は『週刊文春』の読者の4~5割が女性なんです」
へぇ~! 「文春砲」と世間で騒がれる昨今、40代男性記者は、毎週のように読みふけっている。しかし、女性読者がそんなにいるとは...存じ上げなかった。
井崎氏は続けて、
「2015~17年に週刊文春特集班でデスクをしていた当時、読者の4割超が女性なのに、誌面作りでは、どうしても男性読者視点の記事が圧倒的に多くなってしまうなと思っていたんですね。そこで、『年に数回、女性版を出してはどうでしょうか?』と、増刊プランとして会社に提出しました」
と話す。
これが採用され、2016年元日発売でパイロット版が発刊された。コンビニ最大手「セブンイレブン」限定で10万部発行したところ、出版不況の中でも発売後1週間で、ほぼ完売。最終的には、83.2%という実売率を記録したそうだ。
それから3年を経て、今回、満を持して新創刊したという。2018年12月29日に発売した「創刊号」は、
「販売チャンネルを全コンビニ、書店に広げ、26万部発行しました」
しかし、「紙媒体部数減」が叫ばれる中、どうして今なのだろうか?
井崎氏は、
「2018年初夏に、社内で『また出してみるか』という話が持ち上がった時は、私自身も『2016年当時よりも、雑誌をめぐる状況が悪化している今、なぜ?』と思いました。ただ、出版不況と逆行するように、2016年にスクープを連発したのをきっかけに、『週刊文春』はこの数年で雑誌の知名度が飛躍的に高まっています。"文春砲"という言葉も生まれ、それこそ小中学生までもが使ってくれているのを聞くと、びっくりします。今年春には創刊60周年を迎えるのですが、 『週刊文春』にご注目をいただいている今だからこそ、新しいことに挑戦するチャンスかと覚悟を決めました」
と話す。何とも、強気な攻めの姿勢である。