若者への就労支援と貧困対策を
遅まきながら、では、どうすべきか?
著者は、若者への就労支援と貧困対策を中心に、包括的な支援を徹底的に行うべきだと主張する。
未婚化への対応としては、しばしば行政による「婚活支援」が言われるが、著者によれば、正社員のような経済的基盤がある人の「出会いがない」問題には対応できるが、そもそも出会い以前に安定的な仕事に就けないことが結婚の障害になっている若者が多い現状では解決にならないという。
何はともあれ、「男女ともに安定した仕事を得ること、結婚して二人で働けば出産・子育てもできる経済力、それこそが少子化対策に必要」なのだ。
そのためには、一日も早く雇用や税・社会保障制度の改革と連動した、整合性のある包括的な児童・家族政策のパッケージを打ち出し、実行すべきとする。そして、その司令塔となる「少子化対策・若者支援庁」を作れという。
日本の家族・子ども関係予算(2013年)は、対GDP比で1.49%。フランスの3.65%、スウェーデンは3.64%、ドイツは3.03%の半分にも満たない。まだまだやるべきことがある。
来年、生まれた子どもが成人するのは2040年である。少子化対策は20年も先になってようやく実を結ぶ。しかし、子どもは社会の希望であり、子どものいない社会に未来はない。私達は今、1.57ショック以来、少子化を克服できずにきたこれまでの30年の歴史を踏まえ、異次元の対応を考えるべき時期にあるように思う。
JOJO(厚生労働省)