なぜ、少子化は止まらないのか――特に「未婚化」が要因――
シンプルな結論だが、直接的な要因は次の3つだという。
(1)結婚しない人が増えている(未婚化)
(2)結婚年齢が上がるにつれて出産年齢も上がる(晩産化)
(3)結婚した夫婦でも平均して産む子どもの数が減っている(夫婦の平均出生児数の減少)
とりわけ、著者が重大な要因だとしているのは、未婚化である。生涯未婚率は、2015年時点で男性23.4%、女性で14.1%にも及んでいる。そして、この生涯未婚率はなお上昇していくと見込まれている。
未婚が増えているからといって、若い世代が結婚に興味がないわけではない。出生動向の把握を目的に実施されている調査によれば、以前に比べて「一生結婚するつもりはない」と答える者は少しずつ増えているが、未だに9割近い男女が「いずれ結婚するつもり」と回答しているからだ。
しかし、現実には異性の交際相手を持たない未婚者が増えている。
著者は、その理由を、不安定な雇用や収入といった将来の見通しを立てにくい非正規労働者が増えていることが大きな原因ではないかと考えている。先の見通しが立たないために結婚したくてもできない、あるいは結婚する意欲そのものが低くなっているというのだ。