「2018年はまさに石黒イヤーでした」
薗部氏個人の「おすすめ」も聞いた。まず1冊目は、石黒正数氏の「天国大魔境」。大災害に見舞われて荒廃し、魔境と化した日本で"天国"を探す少女・キルコと少年・マル、そして隔離された近未来的な施設で暮らす少年・トキオらを軸に展開するSF冒険譚だ。キルコらとトキオの世界は同じ時間軸なのか、マルとトキオの顔が似ているのには理由があるのかなど、現時点では謎が多い。
「『このマンガがすごい!2019』オトコ編ランキング第1位にランクインした作品ですが、じつは、石黒先生が関わった作品は、『このミステリーがすごい!2019年版』にも入っており、2018年はまさに石黒イヤーでした。2巻に収録予定の話で衝撃の事実も発覚します! 丁寧に張られている伏線に、"探偵脳"を駆使して立ち向かうべし」
天国大魔境は講談社の漫画雑誌「アフタヌーン」にて連載中。19年3月22日に単行本第2巻の発売を予定している。石黒氏はミステリー小説をランキング形式で紹介するガイドブック「このミステリーがすごい!2019年版」(宝島社)のベスト20に入った、似鳥鶏氏の『叙述トリック短編集』のカバーイラストも担当した。ミステリーの伏線や奇抜なアイデアに定評のある石黒氏は、このカバー・帯にもある"仕掛け"を施しているという。
もう1冊は、稲井カオル氏の「うたかたダイアログ」。ドラッグストアでアルバイトをする女子高校生・宇多川と、男子高校生・片野の軽妙なかけあいを中心に展開していくラブコメディーだ。
「現代的なこのテンポ感には、"マンガ話芸"の新しい可能性を感じています。なんだかんだで、2人が仲良しなのもいいですね」
白泉社の漫画アプリ「マンガPark」にて掲載。19年1月18日に単行本第3巻(最終巻)の発売を予定している。