新丼貴浩さんって何者?
実は新丼さんは幼少期から新井さんやカープのファンだったわけではない。物心ついた頃から野球に取り組みプロ野球にも多少の興味はあったが、野球は見る よりプレーしたいタイプで、新井さんは有名なプロ野球選手のひとりとしか見ていなかった。
「転機」が訪れたのは、2016年10月22日。カープと北海道日本ハムファイターズが戦った日本シリーズの初戦、今回インタビューをした居酒屋「広島お好み焼Big-Pig神田カープ本店」を訪れたことだ。この日、「サンデー・ジャポン」(TBS系)などのテレビ番組が関東のカープファンの盛り上がりを取材するため、同店で撮影中だった。そこでユニホーム姿の新丼さんが「発見」されたのである。
新丼さんがこの店を訪れたのは、偶然ではない。元読売ジャイアンツ・桑田真澄さんのそっくりさん「桑田ます似」さんから、オファーを受けたためだ。2人は半年ほど前に草野球を通して知り合っていた。
ます似さんからは「身長体重が同じ等身大モノマネは滅多にいない。(そっくりさんの活動を)続けたほうがいい」と勧められ、「新丼貴浩」と名付けてもらった。翌日のサンジャポのオンエアが重なって、インターネットで話題になった。
そっくりさんとして注目を集める中で、新井さん本人やカープについてこれまで以上に興味を持つようになり、そのプレースタイルや人柄を知れば知るほど、好きになっていったという。現在は「1日の半分は新井さんやカープのことを考えている」ほどだ。
最後に新丼さんに、引退した新井さんへ贈りたい言葉を聞いた。それまではじょう舌だったが、この質問だけは途中、言葉に詰まりながらしんみりとこう語った。
「まずはお疲れ様という気持ちです。"ありがとうございました"というのも変だし、簡単にまとめられないですが...。来年も新井さんのユニホーム姿が見られると思っていたファンがほとんどの中で、未来のカープのことを考えて、自ら身を引かれるご判断に、やはり素晴らしいお人なんだなと思いました。正直新井さんがいないカープは想像できないんですが、『もし来年カープが壁にぶち当たることがあったら、すぐにユニホームに着替えてカープに戻ってきてください』と言いたいですね。道具がなかったら僕がすぐ貸しにいきますから」