政権交代後の成り行きがもたらした幻滅と失望
大山氏は、国民が政治制度の改革に関心を失った理由の1つとして、1990年代の一連の政治改革が期待されたような成果を生まなかったことにあるのかもしれないという。2009年の政権交代は、改革の到達点とも思われたが、その後の成り行きは国民に幻滅と失望しかもたらさなかった。
この状況を、行政学の観点から分析した好著が、牧原出著「崩れる政治を立て直す―21世紀の日本行政改革論」(講談社 2018年9月)だ。牧原氏は、現在東大先端科学技術センター教授で、すぐれた行政学の業績を上げている気鋭の行政学者である。彼は、これまでの改革が、改革した制度が作動するかどうかまできちんと目配りをする必要性を強く指摘する。「改革学」から「作動学」へ、というのだ。
平成の世になされた様々な改革の苦い経験を踏まえて、新時代に向けてまた歩みを進めるために、年末年始にこれらの著作をぜひ手に取って各自が自ら考えてみてほしいと願う。
経済官庁 AK