たいらな世界 三浦しをんさんはレゴ遊びの年頃から「立体」が苦手

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男女差と学習機会

   オーストラリア人作家による「話を聞かない男、地図が読めない女」がベストセラーになったのは2002年だったか。

   「男性の方が空間を認識する能力が高いのは、太古の昔、狩りに必要な能力だったから」といった言説には賛否があり、私個人は懐疑的である。他方、事実として身近な女性にはいわゆる方向音痴が多くて、クルマの運転が上手い人もごく限られる。

   たぶん、男女で大まかな傾向はあるのだろうが、三浦さんのお友だちが言うように、性差より個人差のほうが大きいのではないか。話を聞く男性も多いし、地図が読める女性もたくさんいる。ちなみにどちらが欠けても、タクシー運転手やジャーナリストは満足に務まらないだろう。

   まとめれば、得手不得手は後天的な学習機会の問題、好き嫌いもしかり。そして万事は有為転変、ということになる。

   私事にわたるが、3歳の孫娘は色は青が好き、ファミレスでもらえるオモチャも人形や首飾りより自動車か飛行機、という「個性」である...いまのところ。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)

コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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