「ロックに政治を持ち込むな」
求められる音楽とやりたい音楽とのジレンマ。それは一つの時代のシンボルになってしまった人は誰もが経験することだろう。
頭脳警察は75年の大晦日、渋谷のライブハウス「屋根裏」で解散。PANTAはソロになった。ラブソングのアルバムやより時事的で叙事詩的なアルバムを発表してきている。
2018年11月に六本木のビルボード東京で再現ライブを行ったPANTA&HALの「マラッカ」「1980X」はともに鈴木慶一プロデュースの名盤。前者はマラッカ海峡を舞台にして世界を俯瞰したような内容で、後者は80年代初頭の東京の空気を切り取ったコンセプチュアルなロックアルバムだった。
同時に石川セリや沢田研二らにも曲提供する一方、別ユニットとして赤軍派のリーダーとしてアラブに向かった重信房子が詞を書いたアルバム「オリーブの樹の下で」も発表している。
頭脳警察50年。
世の中も若者の意識も変わった。
その最たるものが、一昨年、フジロックで起きた「ロックに政治を持ち込むな」という議論だろう。
「馬鹿馬鹿しいというか、驚きました。俺たちはロックをやること自体が政治と関わることだと思ってましたから。それはロックに生活を持ち込むなと言ってるのと同じでしょ」
すでに年末から来年にかけてのソロのライブの予定も発表されている。頭脳警察としてのツアーは今、ブッキング中だという。
「生きた伝説」を体験する最後の機会になるのかもしれない。
(タケ)