アダルトグッズメーカーのTENGA(東京都港区)が、2018年11月21日~12月25日の期間、大阪市中心部にある百貨店、大丸梅田店にポップアップストアを開店中だ。女性向けセルフプレジャーグッズ「iroha」を中心に陳列、販売している。
今年8月に続く2度目の試みとなる。入口にのれんを付けて、女性用とカップル用に分けて運営しているのが特徴だ。
80代の客も...女性が安心して入れる「店づくり」に
3連休初日の11月23日午後、J-CASTトレンドが店を訪れると、中は多くの人でにぎわっていた。JR大阪駅からすぐの大手百貨店で、エスカレーターの真横という立地の良さもあり、夫婦やカップルとみられる通りがかりの買い物客がふと足をとめ、のれんをくぐっていく様子が頻繁に見られた。
「じかに商品を手に取れる、入りやすいショップへのニーズはありました。今回、百貨店の婦人服売り場の階にオープンし、店員はすべて女性と、女性客が安心して入店できる環境を工夫しました」
そう話すのは、TENGA広報宣伝部の工藤まおりさん。性に関連するグッズ販売店の「入りにくい」「恥ずかしい」というマイナスイメージを払拭するため、店舗デザインにはこだわった。
外側が縦格子になっており、遠くからは店内の様子がのぞけないが近づくと商品が見えるつくりだ。また前回の開店時は主に女性客をターゲットとしたため、男性が入店をためらうケースがあった。今回はカップル向けコーナーを設置し、男性向けグッズも置いた。既存の商品販売店と比べると、百貨店を訪れる客という特性もあるのか40~50代が目につき、中には80代の女性も来店したと工藤さんは明かす。
カップルコーナーを見ると、商品を手に取ったり店員の説明に耳を傾けたりする男女2人連れが多い。TENGA広報宣伝部の西野芙美さんは、20代のカップルが「ちょっと面白そう、見ていこう」と入店してきた例を挙げ、「軽いノリで入ってきてくれれば」と話した。
30代の夫婦はJ-CASTトレンドの取材に、「インターネットニュースで店のことを知り、興味がわきました」と来店の理由を答えた。妻は「商品を見て、かわいいと思った」と笑い、夫は「こんなに品ぞろえがあるとは知りませんでした」と少々驚いた様子。店内には20分ほど滞在し、商品に触れたり店員の説明を受けたりしたうえで購入したという。
「日常的に、夫婦間で性の話はしないですよね」
2度目のポップアップストア開店の目的に、TENGAは「性に関するコミュケーションを取る機会の提案」を挙げている。同社は発表のなかで、日本家族計画協会の「男女の生活と意識に関する調査」結果を引用。それによると、既婚者のセックスレスの割合は、最新データとなる2016年で47.2%とこれまでの調査で最高値を記録した。
「日常的に、夫婦間で性の話はしないですよね」と西野さんは指摘する。不安や悩みを抱えながらパートナーに打ち明けられない――そんな人から、夫婦関係を相談される機会がしばしばあるそうだ。例えば50代女性の来店客は、「こういうもの(アダルトグッズ)は使ってはいけないと思っていた」と話したという。
更年期に起きる体の変化や性交痛といった悩みを明かす人もいる。そこで、過去に医師ら専門家から聞いた情報を整理して店員と共有し、相手の悩みをできるだけ受け止められるようにしている。また工藤さんらも、自身の経験談を伝えることがある。「私たちが心を開いて自分の(性にまつわる)話をすれば、相手も安心して『自己開示』してくれます」。
西野さんは「夫婦やカップルで店に来れば『面白い』『こんな商品あるんだ』とコミュニケーションが生まれます。そこから、夫婦のさらに良い関係が生まれてほしいですね」と願う。