「日常的に、夫婦間で性の話はしないですよね」
2度目のポップアップストア開店の目的に、TENGAは「性に関するコミュケーションを取る機会の提案」を挙げている。同社は発表のなかで、日本家族計画協会の「男女の生活と意識に関する調査」結果を引用。それによると、既婚者のセックスレスの割合は、最新データとなる2016年で47.2%とこれまでの調査で最高値を記録した。
「日常的に、夫婦間で性の話はしないですよね」と西野さんは指摘する。不安や悩みを抱えながらパートナーに打ち明けられない――そんな人から、夫婦関係を相談される機会がしばしばあるそうだ。例えば50代女性の来店客は、「こういうもの(アダルトグッズ)は使ってはいけないと思っていた」と話したという。
更年期に起きる体の変化や性交痛といった悩みを明かす人もいる。そこで、過去に医師ら専門家から聞いた情報を整理して店員と共有し、相手の悩みをできるだけ受け止められるようにしている。また工藤さんらも、自身の経験談を伝えることがある。「私たちが心を開いて自分の(性にまつわる)話をすれば、相手も安心して『自己開示』してくれます」。
西野さんは「夫婦やカップルで店に来れば『面白い』『こんな商品あるんだ』とコミュニケーションが生まれます。そこから、夫婦のさらに良い関係が生まれてほしいですね」と願う。