「V-upプログラム」とは
ゴーン氏がトップに就任した後、日産自動車は高い目標を掲げた中期経営計画に挑戦し続け、10年以上にわたり躍進を続けた。COO(最高執行責任者)の志賀俊之氏をはじめ社員たちが戦略を駆動する力を身につけ、改革を支える現場力を発揮しているからと言われている。それを、全社的な組織の仕組みとしてつくり出しているのが、「V-upプログラム」である。
ゴーン氏が最初に行ったのは、各部門から優秀な社員を集めてクロスファンクショナルチーム(CFT)を結成したこと。V-upプログラムでは、トップダウンで物事を進めるのではなく、部門間の垣根やしがらみを越え、全社で取り組むべき課題を現場に考えさせ、次にその解決策をクロスファンクショナル(部門横断的)なチームで考える。現場は自ら考えた解決策を積極的に実践し続けていく...。その積み重ねが日産の現場力となり、結果的に劇的なV字回復を果たすことができた。
『日産V-upの挑戦 カルロス・ゴーンが生んだ課題解決プログラム』(著者:日産自動車株式会社V-up推進・改善支援チーム 中央経済社 1944円)は、日産自らがそのノウハウを余すことなく紹介したもので,日本企業復活のバイブルとなり得る。