「日本人は昔から虫に親近感を抱いてきた」
「針聞書」は九州国立博物館に収蔵され、同館の人気展示物となっている。この書を題材とした書籍は「虫の知らせ」(ジェイ・キャスト)、「戦国時代のハラノムシ」(図書刊行会)などが出版され、ロングセラーとなっている。注文印刷の「針聞書」完全復刻版は32万4000円と高価である。
日本語には他の言語に比べて虫のつく言葉が多いという。同志社大学名誉教授の故笠井昌昭氏は「日本人は昔から虫に親近感を抱いてきた」と言っている。古くから中国の知識を借りて、体の中にいろいろな虫がいると考えてきた。しかし、「針書書」に現れる63種類もの虫のリアルで滑稽な姿を見て笠井氏は驚いた。それだけの奇書だという。